海外メディアも驚いた「汚物風船」…「北朝鮮には金正男暗殺した生物化学兵器がある」
最近の北朝鮮による汚物風船の散布を世界のメディアも大きく取り上げている。 2日（現地時間）、米紙ニューヨーク・タイムズ（NYT）は、「なぜ北朝鮮はゴミ風船で韓国を爆撃したのか」という見出しの記事で、「北朝鮮が先月28日から非武装地帯（DMZ）を越えてゴミ風船約1000個を飛ばした」とし、「風船から落ちた（ゴミ）ビニール袋は、自動車のフロントガラスを粉々にするほど重かった」と報道した。 また「ほとんどの韓国人はこの事件を北朝鮮の苛立たしいいたずらと捉え、落ち着いた態度を維持した」とし、韓国の雰囲気も伝えた。風船に触らず、軍部隊または警察への通報を呼びかけた政府の指針については、「北朝鮮は、金正恩（キム・ジョンウン朝鮮労働党総書記兼国務委員長）の腹違いの兄、金正男（キム・ジョンナム）を暗殺するために使った生物化学兵器を大量に備蓄している」と報じた。 海外メディアは、北朝鮮が汚物風船を散布した背景に、一部の脱北者団体による北朝鮮へのビラ散布があると指摘した。AP通信は同日、「1日夜から同日朝まで北朝鮮から飛んできた風船600個余りが韓国各地で発見されている」とし、「これは反北朝鮮ビラを飛ばす（反北朝鮮団体の）活動家に対する北朝鮮の報復」だと報じた。英紙のガーディアンも同日、「北朝鮮は韓国の活動家たちが反北朝鮮ビラを付けて飛ばす風船に長い間怒りをあらわにしてきた」としたうえで、「それらの風船には時々現金や米、韓国ドラマの入ったUSBドライブなども含まれた」と説明した。昨年9月、憲法裁判所はいわゆる「対北朝鮮ビラ散布禁止法」（南北関係発展に関する法律一部改正案）に対して「違憲」の決定を下した。そんな中、統一部関係者は先月30日、一部の脱北者団体に対北朝鮮ビラ散布の自制を要請する計画はあるかという記者団の質問に、「現段階でさまざまなことを考慮し、それについても検討する」としながらも、一部の脱北者団体に対北朝鮮ビラの自制を要請しないという立場に変わりがあるわけではないと明らかにした。 数十年間にわたり南北が行ってきた「ビラ散布心理戦」について改めて取り上げた海外メディアもあった。英国のBBCは同日、「1950年代の朝鮮戦争以降、南北ともに宣伝戦に風船を利用してきた」とし、「韓国の活動家たちは反北朝鮮宣伝物の他にも現金、北朝鮮で禁止されているメディアコンテンツと韓国のお菓子『チョコパイ』を入れた風船を飛ばした」と報道した。 ひとまず北朝鮮が2日に南に向けた汚物風船散布を暫定中断する方針を明らかにした中、脱北者団体の「自由北韓運動連合」は3日、YTNに「（北朝鮮が汚物風船の散布で）あらゆる悪行を働き侮辱した5000万の（大韓民国）国民に対し、心から謝罪するなら、私たちも（対北朝鮮ビラ散布の）暫定的な中断を考える」とし、「金正恩（朝鮮労働党総書記兼国務委員長）が謝罪しなければ、5～6日頃に南北風が吹いたら直ちに（対北朝鮮ビラを）飛ばすつもりだ。ドラマやトロット（韓国の演歌）、K-POPも一緒に送る」と主張した。これに先立ち、北朝鮮のキム・ガンイル国防次官は2日夜、「我々は国境を越えてゴミを散布する行動を暫定的に中断する」としながらも、「ただし、韓国の連中が反共和国ビラ散布を再開した場合、発見される量と件数によって、100倍の量のゴミと汚物を再び集中的に散布することで対応する」と述べた。 チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
