都の中3スピーキングテスト「公平性疑問」 反対教授らが独自調査で
先月24日に中学3年生約7万人が受験した東京都教育委員会の英語スピーキングテストをめぐり、都立高校入試への活用に反対する大学教授や都議、保護者らが4日、独自の調査結果を公表した。記者会見で「ずさんな試験運営で公平性が損なわれている」などと主張し、入試の合否判定への活用を中止するよう訴えた。 調査はテスト当日の夕方から30日までインターネットで実施し、受験生や保護者らから計186件の回答を得たという。 受験環境について、周りの生徒が回答する声が聞こえ(部分的にでも)何を言っているか分かった、との回答が69件あり、自由記述では「(回答中に流れる)ザーという音がうるさく、自分の声が聞きとりにくかった」など、雑音によって集中できなかったとの意見も25件あった。ヘッドセットやタブレットなどの機器について「困ったことがあった」は55件だった。 また、試験時間について、都教委は「終了時刻の約2時間の遅延が一部の会場で発生したが、大きなトラブルは報告されていない」としていたが、今回の調査では、ある会場で受験した生徒らから「タブレットが不具合を起こし、まわりの回答が丸聞こえの中で5時間待たされたのに、別日に受けることになった」「受験生の大切な時間を無駄にされた」といった声が20件超あったという。 ■都教委「生徒の申し出、個別に対応してきた」 都教委の担当者は「実施状況については事業者と確認しており、生徒からの申し出を直接聞く態勢を整え、申し出があった場合にはこれまでも個別に対応してきた」として、さらなる調査を行う考えはないとしている。 テストは都立高入試の合否判定にも用いるものとして2022年度に導入され、昨年までは通信教育大手ベネッセコーポレーション、今年から英国のブリティッシュ・カウンシルが運営や採点を担当している。(太田原奈都乃)
朝日新聞社