被災地に届けたい!「ユニホームの縁」で宇都宮の高校吹奏楽部がチャリティーコンサートを開催
栃木県宇都宮市にある私立校、作新学院高等学校の吹奏楽部などの生徒らが3日、能登半島地震の被災地を応援したいと、栃木県庁でチャリティーコンサートを開催した。そこには2010年、統合により閉校した石川県立珠洲実業高校吹奏楽部とのユニホームを巡る「縁」があった。 部員たちの「届けたい」という思い。手助けできればと、筆者も会場へ足を運んだ。
■「ユニホーム」がつないだ珠洲市との「縁」
作新学院高等学校は生徒数がおよそ3500人。ほかに幼稚園や小学部、中等部もある総合学園だ。野球部は春夏の甲子園の常連校で、今年の春の選抜高校野球大会にも出場を決めている。一方の珠洲実業は2010年、隣接する高校との統合により閉校した。吹奏楽部はマーチングバンド北陸大会で何度も金賞を受賞し、全国大会でも銀賞に輝くなど、石川県でも屈指の強豪校だったという。閉校後、晴れ舞台に出ることがなくなったユニホームは10年近く倉庫に保管されたまま、処分される時が近付いていた。困った同校の元顧問・喜多忠男さんが相談したのは、石川県マーチングバンド協会理事長・山田正俊さんだった。その結果、2019年、生徒たちの思いが詰まったユニホームは栃木県の作新学院高に寄贈されることとなった。相談を受けた山田理事長は、実はその年の春まで24年間、作新吹奏楽部でマーチングドリルの指導に携わっていたのだった。
■様々な場面で着用のユニホーム、去年は「里帰り」も
遠く離れた栃木県に渡ったユニホーム。作新学院吹奏楽部の部員たちが袖を通し初めて立った舞台は、翌2020年11月の同部の定期演奏会だった。その後も年2回の定期演奏会やイベントに呼ばれた際の演奏、そして野球部の応援で甲子園のアルプススタンドでも、作新学院の吹奏楽部員が珠洲実業のユニホームを着て演奏した。去年の11月には石川県で開催されたマーチングバンドの演奏会に出場、前日には「故郷」珠洲市での特別公演が実現した。「ユニホームの里帰り」に会場は大きな盛り上がりをみせたという。もともとこのユニホームは、珠洲実業が海外の演奏会に出場する際、地元の方々の寄付で作られたものだという。きっとこの「ユニホームの里帰り」は、珠洲市の人々の心に温かいものを残したに違いなかった。 しかし… そのひと月と少し後、石川県は強い揺れに襲われた。