被災地に届けたい!「ユニホームの縁」で宇都宮の高校吹奏楽部がチャリティーコンサートを開催
■北陸を襲った激震、「今できることをやろう」
「震災直後は喜多さんの安否が確認できず、心配でした。」そう語った作新学院吹奏楽部の顧問・三橋英之さんは、その後、喜多さんの無事が確認でき安堵したという。同校の「地球環境クラブ」は災害が発生したときに被災地へ支援物資や義援金を送る活動をしていて、ウクライナなどへの支援も行っている。今回の震災でも、すでに支援物資や義援金を送っているという。「今すぐにでも行きたい」、「まだ現地入りできる状況じゃない」…吹奏楽部の部員たちは顧問や学校と相談した。「今できることをしよう。」と、地球環境クラブや野球部、生徒会、そしてチアリーディング部などと共に、募金活動と併せて、このユニホームを着てのコンサート開催を決めた。
■「町も人も温かい。その温かいものがすべて壊れた」
3日午前、会場となった栃木県庁のエントランスには、保護者はもちろん、子ども連れの人やお年寄りまで500人を超える人たちが集まっていた。同校の幼稚園や小学部の児童、中等部の生徒が会場の人たちに募金を呼び掛け、地球環境クラブの生徒が募金箱を持って会場を回った。そして、吹奏楽部が「珠洲実業」のユニホーム姿で演奏を始めると、会場は大きな拍手の渦に包まれた。珠洲の日の出をイメージしたという真っ赤な生地。右肩から斜めに金色の帯があしらわれたユニホームに黒のスラックス。珠洲実業の思いをまとった部員たちの演奏は坂本九さんの「上を向いて歩こう」で始まった。この曲の歌詞には「涙がこぼれないように」とある。被災された方々に届いて欲しいと願っての演奏。続いては童謡「ふるさと」。「自分たちのふるさとはとっても大切な場所で心のよりどころ、心を込めて演奏できた。」と顧問の三橋さんは振り返る。中島みゆきさんの「糸」や、去年5月に能登地方を襲った地震(珠洲市で震度6強など)の後に作られたという珠洲復興応援歌「HOME」が、復興への思いを乗せて力強く演奏された。コンサートの最後は、チアリーディング部や応援部なども加わり、総勢120人あまりでマーチングドリル(舞台上で演奏しながら様々な形を見せる)を披露した。 今後も折に触れ、支援活動をしていきたいという作新学院高校吹奏楽部・部長の宮田心春さんは「珠洲の皆様に直接お会いして、演奏見ていただけるのが一番。またそういう日が実現するのを、わたし達は待っています。」と笑顔で話した。「このユニホームを着て?」との問い掛けに、宮田部長は「もちろんです!絶対これで行きます!」と力強く答えてくれた。 この日集められた寄付金は全額被災地に送られる。 (宇都宮支局 清水彰)