習近平、「トランプ再登場」にボー然…!電話会談はなく「電報を送っただけ」のセコい対応に込められた中国の困惑と戦々恐々
「関税」にも「台湾」にも正面から答えず
7日に行われた前述の外交部記者会見では、毛報道官はまた、ニューヨーク・タイムズの記者から「トランプ発言」に関する二つの質問を受けた。 「トランプ氏は中国製品に全面的に関税を課すと発言し、中国が台湾に侵攻することはないとも述べた。中国側はどう思うか」と。 それに対して毛報道官はまず、「関税に関しては、仮りの質問にわれわれは回答しない」とコメントを避け、「台湾」についてのトランプ発言に対しては毛報道官は、「台湾問題は中米関係で最も重要で最も敏感な問題であり、中国はアメリカと台湾のいかなる形の公的な往来にも断固として反対する」と、中国従来の立場を繰り返した。 つまり毛報道官はここで、トランプ発言に対して真正面から答えることをせずにして、トランプ氏に対する批判を避けていた。関税問題や台湾問題などでのトランプ氏の出方に神経を尖らせながら、トランプ氏をできるだけ刺激したくないという中国側の本音が垣間見ることはできる。
「褒めたくはなし」されど「心証を害したくなし」
そして11月8日、新華社通信と人民日報系の環球時報はそれぞれ、トランプ当選関連の「評論員文章」と「社説」を掲載した。両方ともは、習主席がトランプ氏に祝電を送ったことを受けての論評となっており、習主席祝電の趣旨に沿って米中関係のあり方に関する中国側の立場と見解を似たような角度から論じている。 そこで大変興味深いことに、新華社通信「評論員文章」と環球時報「社説」の両方ともは、トランプ氏の当選に関連しての論評であるはずなのに、文中、トランプ氏の名前に触れたのは「習主席がトランプ氏に祝電」の一箇所だけである。それ以外は、トランプ氏のことには一切触れずに、トランプの対中政策や中国観などを論評することもなく、とにかくトランプ評価もトランプ批判もいっさい避けて通っているのが特徴的である。 つまり、トランプ氏のことを褒めたくない一方において、中国に対するトランプ氏の心象を悪くしたくない、この「怪物」をできるだけ刺激しないという「自制」が中国側に徹底していることが分かる。 こうしてみると、何をやってくるかが分からないという予測分不可能な「怖い存在」が米国大統領に返り咲きするのを目の前にして、今は習近平の中国はまさに、戦々恐々に息を殺してその出方を伺って今後の対応を苦慮している最中であろう。このトランプ氏と来るべきトランプ政権は今後、中国に対してどのような攻勢をかけていくのか、そしてトランプvs.習近平でどのような攻防が展開されていくのか、まさに今後の見どころであろう。 【つづきを読む】『習近平はもうおしまいなのか…中国人民解放軍で「静かなクーデター」!粛清に反抗してとうとう制服組トップが軍を掌握』
石 平(評論家)