長谷部誠と岡崎慎司が本音で語る、現役生活と引退。「よくあの立場でやれてるなぁ」「才能はそんなにないと思うんですけど (笑)」
「才能はそんなにないと思うんですけど(笑)」「心から尊敬している」
年齢とともに選手のコンスタントな起用は難しくなると監督は考えるかもしれない。誰だって少なからずの先入観を持ってしまうだろう。ブンデスリーガ現役最年長である長谷部以外に40歳になってもフィールドプレーヤーとしてプレーしている選手はいないのだから。岡崎はそのあたりにもどかしさを感じていた。 「何度も思ったんですよ。『なんでハセさんを使わないんだろう』って。もう全部年齢じゃないですか。クラブ的に若い選手たちを起用して経験させて上に上げていくっていうのもあるだろうし、ポテンシャルを見てる部分もある。けど現段階では絶対ハセさんが出たほうが勝てる可能性が高かった試合があったと思うんです。メンタル的にブレない、左右されない選手だけど、ハセさんなりに悔しい思いをいっぱいしたと思うんです。そのへんは僕にはわからないですけど……」(岡崎) 岡崎にとって長谷部は苦しい時に道を指し示してくれる存在でもあった。長谷部のキャリアを振り返るとすべて順風満帆だったわけではない。膝の負傷に苦しみ、出場機会がない時期だってあった。ヴォルフスブルク時代は優勝に貢献したが本職のボランチでは出られず、さまざまなポジションで起用され、タスクもまちまち。当時の2人の会話を岡崎が振り返る。 「ハセさんが、『そんなときは次の日、山走りに行ってるよ』と話していて。当時僕もシュツットガルトで同じような感じだった。『そうやって自分を奮い立たせるのが普通だよな』って、共感することができたんです」 一線級の舞台で戦う者同士だから分かり合える。互いに刺激を与えながら戦ってきた。長谷部は岡崎の引退についてどう思っているのだろう? 「オカちゃんにはだいぶ前に連絡をもらって、『やめます』って。僕も引退を決めてから、オカちゃんに連絡して。オカちゃんと同じ時代にサッカーできたのは僕としても大きな財産です。変な意味じゃなくて、才能はそんなにないと思うんですけど (笑)、ただ、あそこまであの才能でいけるっていうのは本当にすごいこと。サッカーに対する情熱とか、サッカーをよく考えている、勉強してやってることとか、あとはメンタル。そういう技術とかフィジカルじゃない部分であそこまでいってる選手なので。心からオカちゃんのことは尊敬している」(長谷部)