砕いた燃料デブリを分析機関に輸送・JAEA発表<福島第一原発>
福島第一原子力発電所2号機で、事故後初めて採取に成功した燃料デブリについて、分析を行う日本原子力研究開発機構(JAEA)は2025年1月10日、分析のために砕いたデブリを分析機関の1つであるMHI原子力研究開発株式会社(NDC)に輸送したと公表した。 採取されたデブリ約0.7グラムのうち、NDCに輸送されたのは0.1グラム程度。同日午後1時過ぎに輸送を開始し、1時間40分ほどで安全に輸送を完了したとしている。 NDCでは燃料デブリの化学分析(主要元素組成、微量元素組成、ウラン同位体比の評価)を行う予定になっているという。 今後、燃料デブリの分析を行うのはJAEAの大洗原子力工学研究所のほか、同じくJAEAの原子力科学研究所、また、日本核燃料開発株式会社(NFD)、MHI原子力研究開発株式会社(NDC)、さらに兵庫県にある大型放射光施設SPring-8。 福島第一原発では2011年の事故から約13年8ヵ月が経過した2024年11月7日に、溶け落ちた核燃料が原子炉内の金属やコンクリートと混ざり合って冷え固まった「燃料デブリ」の試験的取り出しに成功した。およそ1年かけて詳細な分析を行い、今後計画される本格取り出しの方法の検討などに活かしたい考え。 【燃料デブリ試験的取り出し・これまでの経緯】 ■2021年:当初の試験的取り出し着手予定 ⇒ロボットの開発遅れ、経路への堆積物の詰まり発覚などで延期 ■2024年8月22日:試験的取り出し着手を計画するも「現場での棒の順番ミス」が発覚し取りやめ ⇒東京電力が現場に立ち会っていなかったことなどが問題に。 管理体制の見直しを行う。 ■2024年9月10日:試験的取り出し作業に着手 ■2024年9月14日:ロボットが一度デブリをつかむ ■2024年9月17日:カメラ4台のうち2台の映像が見られなくなるトラブルで中断 ⇒高い放射線が影響でカメラ内部に電気がたまり不具合を起こしたと推定。 カメラ交換を決断。 ■2024年10月24日:カメラの交換作業を完了 ■2024年10月28日:試験的取り出し再開 ■2024年10月30日:デブリの把持・吊り上げに成功 ■2024年11月2日:デブリを事故後初めて格納容器外へ取り出し成功 ■2024年11月5日:放射線量が「取り出し」基準クリアを確認 ■2024年11月7日:試験的取り出し作業完了 ■2024年11月8日:デブリの水素濃度などが輸送の基準を満たすこと確認 ■2024年11月12日:事故後初めてデブリを第一原発構外へ 研究施設へ輸送 ■2024年12月26日:JAEA「採取デブリからウラン検出」公表し「典型的な燃料デブリ」と評価 ■2024年12月:デブリの非破壊分析が完了・分析機関に分配するためデブリを砕く ■2025年1月8日:JAEA「5つの分析機関への分配決定」公表 ■2025年1月10日:デブリの一部をJAEAからMHI原子力研究開発株式会社(NDC)に輸送
福島テレビ