ヤクルト・丸山和 探し続けた〝原点〟を見つけたコーチからの一言とは? 逆襲の4年目へ定位置奪取を狙う
プロの手応えも厳しさも痛感した1年を終え、ヤクルト・丸山和郁外野手(25)が定位置奪取を狙う来季への覚悟を語った。1年間探し続けた「原点」とは-。愛媛県松山市内で行われた秋季キャンプで見えた光がある。きっかけは新任コーチの何げない一言だった。 迷いがなくなったからなのか。丸山和が晴れやかな表情で神宮のクラブハウスを訪れた。酸いも甘いも経験した激動の1年。「秋季キャンプでその原点を見つけ…た、まではわからないですけど」。充実感から笑みが少しだけにじむ。探し続けた「原点」はぼんやりとだが、確かに見えた。 過去2年間に比べ、今季は定位置がより近くに感じた1年でもあった。4月下旬から打撃が開花。上位打線を任されることが増え、「自分でもビックリするぐらい打てて、このままいけばレギュラー取れるんじゃないか」と思ったという。だが、プロの厳しさを痛感するのはその直後だった。 後半戦にかけて勢いは失速。7月30日の中日戦(バンテリン)では途中出場で2打席連続見逃し三振に倒れた。「カウントが進む中でも手が出ない。そこまでは打てなくて落ち込んでいたんですけど、そこで初めて自分にキレました」。なすすべのない自分に、怒りの矛先は向いた。 この日々を今になって見つめ返すと、不振の理由は明白だった。「原点に立ち返ることができなくて、自分にはその原点がなかった。だからダメな時は、もうとことんダメで」。自分探しの旅は、原点を探す時間。フェニックス・リーグを終え、その後、松山で行われた秋季キャンプでも自身を見つめ直した。 きっかけは、今季で現役を引退し、外野守備走塁コーチに就任した山崎晃大朗の何げない一言だった。「ノックしてみる?」。半信半疑ながらもネットに向かってノックを打ち始めると、「バランスも良く、割れもできて、ボールに入っていける感覚もありました」と、これまでわからなかった答えのヒントを得た。 約2週間はひたすらに継続。毎日ノック、ティー打撃を繰り返し、「自分の気が済むまで」ゴールを決めることなく黙々とバットを振り込んだ。「こすってもいいし、引っかけてもいいけど、体のバランスだけ意識した」と体に覚え込ませた。 迷った時に立ち止まり、帰る場所がある。「ボールに向かっていくバランスは、このキャンプで結構つかめたかな。あとは継続して、立ち返れるポイントにしたいです」。逆襲の4年目へ。今季味わった悔しさはもう二度と繰り返さない。(デイリースポーツ・松井美里) ◇丸山 和郁(まるやま・かずや)1999年7月18日生まれ、25歳。群馬県出身。174センチ、77キロ。左投げ左打ち。外野手。前橋育英、明大を経て21年度ドラフト2位でヤクルト入団。プロ初出場は22年3月25日・阪神戦。同年9月25日・DeNA戦で新人ではNPB史上初となるチームのリーグ優勝を決めるサヨナラ安打。24年は96試合で打率・241、12打点、4盗塁。