新幹線で宮崎市と福岡市結ぶ3ルート、輸送密度は「日豊線」が最多1万2416人…宮崎県試算
宮崎市と福岡市を新幹線で結ぶ三つのルートについて宮崎県が行った所要時間などの試算で、県は新たに輸送密度や詳細な整備延長距離の試算結果を公表した。輸送密度は開業年と想定した2060年度時点で、鹿児島市から宮崎市、大分市、北九州市を結び、北九州市の小倉駅から山陽新幹線に接続して福岡市につながる「日豊線ルート」が1万2416人で最多としている。(浜崎大弥) 【図表】宮崎県が発表したルートイメージと整備費など
結果は4日の県議会の総務政策常任委員会で、県の担当者が説明した。
輸送密度は1キロあたりの1日平均旅客輸送人員を表すもので、日豊線ルートに次いで多かったのは、宮崎市と九州新幹線新八代駅(熊本県八代市)を結び、同新幹線に接続して福岡市とつながる「新八代ルート」の8710人。残る1ルートは日豊線ルートのうち、宮崎市―鹿児島市間を先行整備して九州新幹線に接続し、福岡市とつながる「鹿児島中央先行ルート」で5701人だった。
整備する区間の延長距離は日豊線ルートが379キロ、新八代ルートが141キロ、鹿児島中央先行ルートは103キロだった。整備区間のうちトンネルの距離が占める割合が最も大きかったのは新八代ルートの59%だった。
県内を通る新幹線の構想は、全国新幹線鉄道整備法に基づき、1973年に基本計画路線に決まった「東九州新幹線」がある。福岡市から大分、宮崎両県を通り鹿児島市に至る構想の計画だが、実現しておらず、県は整備への機運醸成などに向け、今年度、東九州新幹線とルートが重なる日豊線ルートや、それとは異なる新八代ルートなど三つのルートについて試算を実施。11月27日の県議会一般質問で、試算結果のうち、整備費や、福岡市―宮崎市間の所要時間などを先に公表していた。
県は三つのルートの試算結果について、個別ルートの優劣や実現性を保証するものではなく、結果をもとに特定のルートへの絞り込みの検討を行うことを想定していないとしている。
これに対し、4日の総務政策常任委員会では委員から「(結果を受け)県としてどのルートで進めていくのかはっきり判断しないと、話は前に進んでいかない」との意見も出た。