「薬漬けから抜け出すために必要なことは…」 薬を使わない薬剤師が明かす「薬の減らし方」
体調が優れないのだから、薬を飲み続けるのは仕方がないこと。そう諦めがちだが、あくまで薬は〈最後の手段〉であり、自分の行動次第で薬に頼らない生活は実現できるという。自ら「0錠生活」を実践している薬剤師・宇多川久美子氏が解説する。 ***
私の薬漬け生活は小学校高学年の頃から始まりました。頭痛がひどく、痛み止めを飲み出したのです。整形外科医の診断によれば、「頸椎がずれているから治らない」とのことでした。 成長するにつれどんどん薬が手放せなくなり、痛み止めだけでなく、血行を良くするためのビタミン剤や、薬剤師になってからは薬が手に入りやすい環境になったので筋弛緩剤も加わりました。さらに薬の飲み過ぎで胃潰瘍を併発して胃薬も飲むようになり、気が付けば1日17錠も服用するようになっていました。 薬剤師として、「薬は良いものである」と信じ、みじんも疑っていませんでした。薬を飲んでも症状が改善しないのであれば、新たな薬を足せばいい。純粋にそう考え、私は薬と一生付き合うことに何ら疑問を感じていなかったのです。実際、医者から薬と一生付き合う覚悟を迫られた患者さんも少なくないと思います。
「“私はその病気を治しません”と言っているのに等しい」
でも、よく考えてみると変じゃないですか? 医者が患者さんに、薬との一生の付き合いを勧めるのって。それって、私はその病気を治しませんと言っているに等しくないですか? なぜなら、もちろん必要不可欠な薬がある一方で、症状を一時的に和らげるための対症療法的な薬も少なくないからです。つまり、一生薬を飲み続けるということは、一生「その場しのぎ」を続けるということでもあるのです。 〈「薬を使わない薬剤師」として、著作や講演などで薬の乱用の問題などについて啓発活動を続けている宇多川久美子氏は、1日17錠の生活から一変し、15年ほど前から一錠も薬を飲まずに健康的な生活が送れているという。 高齢化が進み、多疾患併存(マルチモビディティ)に伴う多剤併用(ポリファーマシー)の問題が深刻化する日本社会に向けて、著作の累計発行部数が100万部を超えるベストセラー薬剤師の宇多川氏が、薬との付き合い方と減薬法を説く。〉