突然現れて消えていく“姿消す淡水クラゲ” 愛知の水族館で展示
突然現れ、消えていく?──。愛知県知多郡美浜町の「南知多ビーチランド」で初展示されているマミズクラゲが、注目を集めている。同町の農業用ため池で8月、大量に見つかり持ち込まれたものだが、関係者は「なぜ発生したか分からず、いつまで見られるかさえも分からない」と、首をかしげる。しばらくは展示を続けるが、9月下旬ごろから数匹の姿が見えなくなっているため「見たい人は早めの来場を」と呼びかけている。
突然姿を現して、数日から数週間で姿を消す
同ランドによると、マミズクラゲは、クラゲでは珍しい淡水に生息し、プランクトンを食べて生きる。直径2センチほどで白っぽく、触手も確認できる。中国原産とされているが、突然姿を現して、数日から数週間で姿を消してしまうなど、詳しい生態が分かっていない。 マミズクラゲが見つかったため池は、約10メートル四方で個人所有の場所。所有者と親交があり、知多自然観察会のメンバーでもある森田博文さん(76)が、個人的に同ランドへ持ち込んだ。 森田さんによると、同所では2006年にもマミズクラゲが見つかったが、すぐに消えてしまい、多くの人が目にすることはできなかったという。「9年ぶりに所有者から連絡を受けて見に行くと、数十、数百のかたまりで見え、大量に出てきたなと驚いた」と振り返る。
見つかった、ため池の水を使って飼育
最初に見つかった2006年当時や、今回の発見時など、定点観測や水温などの詳細データは収集されていない。森田さんは「水温やpHの値の関係で、ある条件が整うと、発生するのかもしれない」と推測する。 同ランドでは、持ち込まれた約30匹を、見つかった、ため池の水を使って育てている。クラゲは水が対流する場所にいないと弱るため、八角形で縦長の水槽に空気を送り込み、クラゲが下から上へ回遊するように展示。飼育担当の廣田大輔さん(40)は「できる限りの工夫をして、長く展示できるようにしたい」と話した。 団体旅行で訪れた名古屋市の男性(68)は「かわいい。消えてしまうのはもったいない」と、不思議そうにクラゲを見つめていた。 (斉藤理/MOTIVA)