米EV市場でテスラ一人勝ちの構図に変調、6年の圧倒支配に終止符か
同氏は「テスラは単に競争相手が増えただけだ」と指摘。「イーロンは電動化で業界を大きく前進させた。だが、テスラは新型モデルがない状況で、新型モデルを投入する他ブランドと競争しようとしている」と述べた。
ただの自動車メーカーにあらず
とはいえ、テスラは依然として断トツで米最大のEVメーカーだ。過去1年に米国で販売したEV台数は、最も近いライバルの現代・起亜自動車の5倍以上に上る。
テスラと同じように米国市場の大部分を掌握した一握りの企業は、それぞれの分野で無類の強さを誇る。スマートフォンではアップル、インターネット検索ではグーグル、人工知能(AI)チップではエヌビディアといった具合だ。このような他の追随を許さない優位性により、同ハイテク3社の時価総額はそれぞれ2兆ドル(約320兆円)を超える。テスラもまた、これらの企業に劣らず、多岐にわたる野望を抱いている。マスク氏はテスラの消費者向け自動車事業はいずれ、クリーンエネルギー、自動運転タクシー「サイバーキャブ」、人型ロボットに事業規模で抜かれるとの見方を示している。
モルガン・スタンレーのアナリスト、アダム・ジョナス氏は先週、投資家がテスラについて競争が激化する市場から抜け出せない自動車メーカーとみる限り、テスラ株は売られやすい地合いが続くと述べた。一方で、テスラは長期的には、最初に支配的な地位を築いた分野に安住することなく前進した他のハイテク企業のように評価されるだろうと同氏は予想。「テスラにとっての自動車は、エヌビディアにとってのゲームチップ、アマゾンにとっての書籍販売のようなものだ」と続けた。
今のところ、自動車事業はテスラの総売上高の9割をたたき出している。また、ジョナス氏の挙げた例で、エヌビディアとアマゾンのいずれもゲームチップと書籍という中核市場の優位性を維持できている点には注目に値する。テスラはEVで同じことはできないかもしれない。