2024年 NRF ビッグショー、人々をブースに呼び込むために奔走するテックベンダーたち:「商談に結び付けられるのが理想的だ」
NRFの現状
NRFの参加者の多くは、実用的なソフトウェアと並んで、ピザを焼くロボットなどの最先端のデモや斬新なソリューションを見たがっていると、アルバレズ・アンド・マルサル(Alvarez & Marsal)で消費者および小売グループのシニアディレクターを務めるジョン・クリアー氏は語る。「長年にわたるNRFの進化により、イベントはよりテクノロジー中心となり、エスエーピー(SAP)やMicrosoftなどの大手企業がイノベーションを紹介するため参加するようになった」 「これらのイノベーションと、小売業者が本当に必要としているものとのあいだにはギャップがある」と、クリアー氏は述べ、現在多くのカンファレンスにはテック系新興企業のブースがあり「それはNRFに限った話ではない」と付け加えた。また、食料品店のウォークスルーなどのフロアデモは「非常に細かくコントロールされているため、現実味がない」と、同氏。最終的に、これらのテックの応用の一部がトリクルダウンして、別の何かの形で適用されるかもしれない。一部のベンダーは数多くあるブースのなかで注目を集めるような仕掛けを取り入れているものの、「それは人々をブースに集め、ほかのもっと現実的なサービスについて説明するための客寄せにすぎない」と、同氏は語った。 しかしこの現状は、小規模なブートストラップ企業にとって、隣のブースで行われている派手なデモと競合するのは困難であるということも示している。 たとえば、フードサービスイノベーションゾーン(Foodservice Innovation Zone)で展示を行っていた、ある自動販売機ベンダーの創設者は、コンビニエンスストアや食料品店の運営会社が今後自社のテクノロジーに注目してくれることに期待している。たとえ会話がすぐに取引につながらなくても、自社を紹介して、後日、再度連絡することに価値がある。「商談に結び付けることができれば理想的だ」と、その創設者はいう。 実際のところ肝心なのは大規模チェーン店の注目を集めることであり、そのためには無料の食事や飲み物を利用するのが効果的だと、クリアー氏は話す。 「これらのイベントのROI(投資回収率)は不明瞭だ。企業にとって、ここで展示を行うことは前提条件だが、支出を正当化するには実際のつながりを獲得する必要があるからだ」と、クリアー氏。場合によっては、何枚かの名刺を持ち帰れれば十分ということもある。しかし一般的に、ほかの場所から来た訪問者とつながり、個人的に招待することは、通りすがった人に手を振るよりも効果的だ。 「たしかに、中にはやりすぎているものもある」と、クリアー氏は話す。しかし全体として、NRF主催者は小売企業の幹部とテック企業の幹部のどちらの関心も維持し、来年のイベントも訪れたいと熱望させるような適切なバランスを維持しようと試みている。 [原文:At NRF, tech vendors try to catch the eyes ─ and budgets ─ of retailers] Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:都築成果)
編集部