千葉県外房の河川でデカハゼを釣る
30数年ぶりに再会した地元のハゼ。怪魚並に嬉しい
仕事のオファー翌日の早朝には釣り場に立っていたこの哀れな語り部。下げ始めのタイミングに合わせて釣りをスタートさせた。場所は子供の頃から慣れ親しんだ河口橋の周辺。 しかし、やはり台風の影響なのか…護岸の上まで浸った水にはオタマジャクシやメダカなど、水路や上流から流されてきたであろう淡水生物がたくさんいる。増水した川はかなり濁っているし、塩分濃度も普段よりずっと低そうだ。この時点でかなりの苦戦を覚悟した。 とりあえず、大昔のスピニングロッドに’90年代のリールをセットした、これまた超いにしえタックルで仕掛けを投入。子供の頃は投げて放っておくだけで少しは釣れたので、最初はそうすることにした。しかし、この日は流れが速い。仕掛けが橋脚周辺の沈みモノまで流されて、すぐに根がかってしまう。 今度は流れのヨレている場所へ仕掛けを入れて、しばらく待ってみることにした。すると…チョンチョンとティップが振れる懐かしいアタリ。巻いてみると…ハゼだ! この川で釣るのは実に30数年ぶり! サイズはまあ15cm級といったところだが、夏ハゼにしては十分だ。 しかし、下げ潮が止まるとアタリも止まってしまい…結局、朝の3時間で本命のハゼは2尾しか釣れなかった。そのことを横沢前編集長に伝えると…。 横沢「俺の経験から言うとだな、ハゼはズル引きした方がいいよ。釣れた場所には何度もハゼが入ってくるから、またそこを狙うんだ」 とのこと。翌日も同じ場所で釣ることにした。
ハゼ釣りの極意は恋愛と同じ!?
翌日も朝の下げ始めからポイントへ入ったこの哀れな語り部。少しすると、自転車に乗った元気なおじさんが「釣れますか?」と声をかけてきた。昨日も対岸で釣りをしていた人だ。ズル引きにトゥイッチを入れる独特のスタイルだったので、よく覚えている。 話してみると、このあたりに別荘を持っていて、東京からよく釣りに来るとのこと。この川では28cmの超デカハゼを釣ったこともあるらしい。 おじさん「去年は入れ喰いだったんだけど、今年はダメだね。特に今は台風の影響で全然釣れないよ」 そして、おじさんにハゼ釣りの極意を教えてくれたのは数年前までこの辺りに住んでいたホームレスの方で、それは素晴らしい腕前だったという。伝授してもらったコツを聞くと…。 おじさん「ハゼは女を釣るのと同じ。こっちから誘わなきゃダメなんだ」 そのホームレス師匠が女性にモテたかどうかは別にして…やっぱり待つだけじゃなくアクションを加えた方がいいらしい。その教えを参考にしてズル引きなどしてみたが…状況が悪すぎるのか、朝は1尾しか釣ることができなかった。 ラストトライとなった午後の部。ズル引き中に「ドゥン!」というアタリが出たのですかさず合わせると、16cmのハゼが釣れた。やはりズル引きした方がいいのか…と思ったが、そのあと置き竿でも1尾釣れたので、結局、置き竿3尾、ズル引き2尾というなんともいえない結果となった。 今回は台風直後という悪条件だったので、ぜひ秋にリベンジして記事化してみたいものだ。外房は9~11月がベストシーズンなので、ぜひとも20cmオーバーのデカハゼにトライしてみてほしい。
望月 俊典:Rod and Reel副編集長を経て、現在フリーランスの編集/ライター。『世界の怪魚釣りマガジン』を手掛けた。