「やればできる」 四肢不自由な佐藤さん(青森市)絵本続編 4日から県美で個展
両手足が不自由で、筆記具を口にくわえて絵を描く佐藤涼さん(44)=青森市=が、2020年に作った絵本「飛びたいピアノン」の続編「飛ぶんだピアノン」を制作した。完成に合わせ、4~8日に同市の県立美術館で原画などを展示する個展を開く。絵本と個展で伝えたいのは「どんな人もやろうと思えば実現できる。その可能性を感じてほしい」という思いだ。 佐藤さんは同市出身。脳性まひによって生まれつき手足が不自由で、8歳の時に口を使って絵を描き始めた。現在は障害者の就労を支援するNPO法人「C-FLOWER(フラワー)」の理事長を務め、同市新城で就労支援施設を運営している。 20年、コロナ禍の影響で施設の受注する業務がなくなったことを機に、絵本を作って販売しようと思い立った。誰にでも得手不得手がある-との思いから、鳥類でありながら空を飛べないペンギン「ピアノン」を主人公にした物語を創作した。続編は、同じように空を飛ぶことを夢見るニワトリの「クック」とピアノンが出会う物語となっている。 裁断やのり付けなどの製本は、同施設の通所者やスタッフが1冊ずつ心を込めて手作業で行っている。佐藤さんは「店頭に並ぶものを作ることで、通所者にもやりがいを感じてもらえる」とうれしそうに話す。 「Ryo.S」の名で米国ニューヨークでもアーティスト活動を展開している佐藤さん。県立美術館での個展は昨年に続いて2回目となる。今回は体育館ほどの広さのフロアに、絵本の原画を展示するほか、ピアノンが躍動するプロジェクションマッピングなど多彩な仕掛けを用意しているという。入場無料。 佐藤さんは「私はこれまで、やりたいと思ったことをためらわずにやってきた。『俺なんか、私なんか』と思わずに、皆さんに『やってみよう』と思ってもらえたら」と話している。 「飛ぶんだピアノン」は1冊千円(税抜き)。成田本店各店で販売しているほか、アマゾンで購入予約を受け付けている。絵本や個展に関する問い合わせはC-FLOWER(電話017-763-5383)へ。