阪神今オフ最大の収穫 FA宣言で残留の大山悠輔に「打点王」期待が
大山に対する特別な思い
大山の魅力は勝負強さだ。リーグ優勝を飾った2023年は全143試合出場で打率.288、19本塁打、78打点をマーク。最高出塁率(.403)に輝いた。昨年は春先に打率1割台と状態が上がらず、6月中旬にファーム降格を経験。130試合出場で打率.259、14本塁打、68打点と不本意な成績に終わったが、得点圏打率.354はチームトップと好機の場面での集中力は際立っていた。 個人タイトルで本拠地が広い甲子園で本塁打王を獲得することは難しいが、打点王は実現可能な目標になる。阪神で最後に打点王を獲得した日本人選手は、11年の新井貴浩(現広島監督)だ。新井監督は野球評論家だった21年に週刊ベースボールのコラムで、大山に対する特別な思いを吐露している。 「タイガースの四番って本当に大変ですよ。私も経験してきたので、痛いほど分かります。だって、『第○○代四番』という言われ方をするのって、タイガースかジャイアンツだけですからね。注目されて、期待を一身に背負って、良くも悪くもいろいろなことを言われる。でも、そんな雑音に負けずに、重圧を跳ねのけて、結果を残さなくてはいけない。大山は早い段階から四番に抜てきされて、なかなか思うようにいかない時期もありました。そんな大山を見ていて、同じ右バッター、同じようなタイプのバッターということもあってか、感情移入してしまう自分がいます。だからこそ、昨年から一皮むけたように感じられるのが、私としてはすごくうれしい。苦労して苦労して少しずつ、それでも歯をくいしばって頑張って成長して、今がある。今年も四番を外れる時期もありましたが、後半戦、また四番としてチームを引っ張っていってほしいと思います」 昨年のリーグ覇者・巨人、レギュラーシーズン3位からの下克上で日本一を達成したDeNA、新井監督率いる広島と手ごわいライバルは多いが、阪神は投打で役者がそろっている。その中心で輝くのが大山だ。 写真=BBM
週刊ベースボール