老後の住まい「住み替え」成功と失敗のリアル 「自宅が売れない」「新居でトラブル」想定外の事態に直面も
持ち家のあるシニア世代は、住む場所に困ることはない一方、維持費の負担や、老いていく自分と住まいのミスマッチから、将来を不安に思うこともあるでしょう。 一方、子ども世代にとっても、親が老人ホームに入居したり、相続しても放置したままだったりすると、実家の空き家問題は頭の痛い話です。 そこで住まいについても「エンディングノート」を作り、老後のライフプランや資産、保険の状況を整理しながら、実家に住み続けるのか、それとも他所へ住み替えるのか、60代のうちから考えてみましょう、と呼びかけているのが、住宅ジャーナリストで、マンショントレンド評論家の日下部理絵さん。 【画像で確認】時間をかけず好条件で我が家を売却または賃貸に出すための「4つの工夫」とは?
日下部さんの著書『60代から終の住処を考えるための住まいのエンディングノート』から一部を抜粋し、「住み替え」を選択した場合の成功例と失敗例についてご紹介します。 ■実際にあった「住み替え」の成功と失敗 あなたの財産のなかでも大きな割合を占める持ち家。売買するには、もちろん大きなリスクを伴います。実際に、住み替えしたシニアたちから聞いた事例のなかから、代表的な成功例と失敗例をご紹介します。 【住み替え成功例】
自宅を売却せず賃貸に移ってダウンサイジング。UR賃貸住宅でお金に困らず穏やかに暮らす。愛着のある自宅が働いてくれる好例! 都内のUR賃貸マンションに暮らす68歳の女性Aさんのお話です。 この方は3年前に夫を急性心不全で亡くしました。40年以上連れ添い、息子にも恵まれ、幸せそのものだったそう。 ですがある日突然、夫が他界。まもなく退職して、老後を2人で楽しもうと計画していた矢先のことでした。 当時住んでいた分譲マンションは3LDK73㎡。息子が小学校にあがる前に2人で選び購入したもので、思い出がいっぱい。落胆のあまり、遺品の整理もままならない母を見かねた息子が、「住み替え」を提案しました。
そのときは決心がつかず、曖昧な返事しかできなかったそうですが、遺品整理を始めるきっかけにはなりました。思い出の品を手に取り、片づけていると、心も少しずつ整理されていくように感じたそう。 数カ月後、息子に「この家を売って引っ越しすることに決めたわ」と伝えたところ、息子が知り合いの不動産会社に相談してくれて「家を賃貸に出すと15万円ぐらいで貸せるらしい」ということがわかりました。 その後、気になっていたUR賃貸住宅を息子さんと2人で見学。おしゃれにリノベーションされた部屋を賃貸契約することになりました。