大阪ミナミが開発ラッシュ! 2031年「なにわ筋線」開業控え、何が開発をそこまで急がせるのか?
南海難波駅に素通りの危機
なにわ筋線はJR大阪駅から概ねなにわ筋に沿って南下し、JR難波駅(浪速区湊町)、南海新今宮駅(浪速区恵比寿西)を結ぶ約7.2kmの新鉄道路線。JR西日本と南海電鉄が乗り入れる予定で、各地で建設工事が本格化している。 これまで南の新今宮駅方面にしか鉄路がなく、行き止まりになっていたJR難波駅がJR大阪駅へ接続されるほか、南海電鉄にとって悲願ともいえる梅田乗り入れが実現する。その一方で、南海難波駅が盲腸線(営業距離が短く、始点または終点のいずれかが他路線と接続されていない行き止まりの他路線)の終点になり、ミナミが素通りの危機にさらされるとしばしば指摘されてきた。 南海難波駅はコロナ禍前、1日平均約25万人が乗降し、ミナミの鉄道利用者の約3割が集中していた。関西空港から来日した訪日客の多くが、南海難波駅からミナミの人気スポットへ出かけている。大阪観光局は 「訪日客や国内観光客がイメージする大阪はミナミ。ミナミ全体が素通りされるとは考えにくい」 とみているが、なにわ筋線の南海新難波駅は南海難波駅から北西に約300m離れている。南海難波駅の東側に位置する黒門市場や日本橋電気街からは 「関西空港からミナミへ来るルートが分散され、南海難波駅周辺の人手に影響があるのではないか」 と不安がる声が聞こえる。キタの梅田地区でうめきた2期の都市公園「グラングリーン大阪」(北区大深町)など大型開発が急ピッチで進み、梅田の吸引力が高まりそうなことも背景にある。南海電鉄は「グレーターなんば構想」を掲げ、南海難波駅周辺の再開発を推進する方針で、 「街の個性を守りながら、ミナミを盛り上げたい」 としている。なにわ筋線の開業が迫るなか、ミナミはどんな街に変わるのだろうか。
高田泰(フリージャーナリスト)