入社10日前、メールで内定辞退に賛否 「信じられない」「会社もお祈りメールをやめろ」
また、世間でいう非正規雇用の社員が有期雇用で雇い入れられることが多いですが、この場合であっても、やむを得ない事由があれば、ただちに辞職できます。やはり、やむを得ない事情がある場合にまで特定の企業に拘束しておくのは問題だからです。
しかし、そのやむを得ない事情が労働者側の「過失」で生じたものであれば、会社に対して損害賠償責任が生じえます。
要は、結局、辞職はできるが、労働者側の落ち度に基づく事情で辞職するのだから、それによって会社に損害を与えているならば賠償しないといけない、ということです。
●直前の内定辞退でも会社への賠償責任の可能性は低い
ーー今回Xで話題になっているケースが無期雇用だと仮定した場合、内定辞退者が会社側に損害賠償する責任が発生しますか?
たしかに、入社10日前にメール1通だけで内定辞退の連絡をすることは法的に認められない可能性がありますが、内定を辞退した人が会社に損害賠償しなければならないという可能性は、現実には低いと思います。
内定辞退者が1人出たところで、会社にどれほどの損害が生じているといえるのか疑問です。内定辞退の連絡をした時期にもよりますが、企業としてはある程度の人数の内定辞退者は予め見込んでいるはずであるともいえます。
さらにいえば、すでに現実に業務命令をして配置が決まっている人が途中で辞職の意思表示をしたケースではありません。通常は入社日以降、社内研修もあり、現場に配置される前の段階でしょう。さらに現時点ならばまだ入社日も迎えておらず、その年度の採用予定人員の確保に関してはまだ企業努力の余地もあります。
ーー事前に入社の意思を示す誓約書を書いていた場合はどうなりますか?
その誓約文言によりますが、結論としてはさほど変わらないと思われます。例えば、「いかなる理由が生じようとも内定辞退は致しません」などという誓約はそもそもが無効と扱われるでしょう。
また、「正当な理由なき限り内定辞退は致しません」という文言であっても、問題はその「正当な理由」の有無や内容次第なので、そのような誓約文言が仮にあったとしても結論は大きく左右されないでしょう。