「グランメゾン東京」どん底からの再生 木村拓哉に期待できるポイント
木村拓哉が天才シェフ役で主演するドラマ「グランメゾン東京」(TBS系、日曜21時)が20日、スタートした。第1話冒頭は、放送開始前から話題になっていたフランスロケで始まったが、街並みも美しくていねいに撮影されている。そんなパリの街で、性格は難ありだが才能あふれる料理人・尾花夏樹(木村)が、三つ星レストランに入ろうと面接にきていた早見倫子(鈴木京香)と出会う。物語は東京に舞台を移し、2人が手を携えて三つ星レストランをつくる奮闘を描く。初回を見る限りは脚本と演出、演者の演技と三拍子揃い、優れたレストランのキッチンオペレーションを見ているような心地よさでつかみは上々、次回に関心がつながった。
栄光から転落、再生へ 木村の目の演技に注目
白いコックコートがよく似合う木村演じる尾花だが、ある事情から、パリで率いていた店も仲間も失ってすっかり落ちぶれた生活を送っている。人生どん底と思われるその冴えない尾花を演じる木村が、まず秀逸だ。パリで日本人初の三つ星を獲れると期待されていた栄光の日々から転落、借金取りに追われる情けない立場に追い込まれているが、それでも目はけっして死んでいない。 木村といえば90年代のヒットドラマ連発の時代から、たとえば「あすなろ白書」の取手役で見せた黒縁メガネ越しのうったえかけるようなまなざしをはじめ、どの役も例外なく「目」が強く印象に残った。今回の尾花役の、清廉な部分と一計を案じる部分が同居したような目の演技は、木村の真骨頂だろう。 「天才シェフが主人公ですから、料理人としての立ち居振る舞いに説得力がなければ成り立たない。木村は徹底して練習したようで、堂に入っている。木村のシェフ姿というとつい『ビストロSMAP』を思い出しますが、料理にはかなりのこだわりを持っていたと聞きます」(スポーツ紙の40代男性記者) 目の演技のみならず、料理人としての手もとの演技などにも期待できそうだ。
料理に人生かけるも才能に絶望 鈴木京香好演
その木村とは2007年の「華麗なる一族」(TBS系)以来じつに12年ぶりの共演となる鈴木京香が、またいい。尾花(木村)の料理人としての圧倒的な才能を前に感動と絶望の両方を味わうことになった倫子(鈴木)だが、30年間料理に生きてきながら絶対に超えられない壁、自分にはないものを実感した者の情感がしっかりと伝わってきた。しかしそれでも生きていかなくてはいけないというときに、人はどうやって新たな目標を設定し、腐ることなく前向きに生きていくことができるのだろうか。 これから尾花と三つ星レストランを目指す中で、倫子がどのように自我を拾い集めていくのかにも注目したい。