識者が選ぶ24年の日本人ベストイレブン|守田は“今年の顔”に相応しい選手。幅広いパフォーマンスを見せている町野の代表復帰は近そうだ
原口もチェイスの成長ぶりに感心
2024年の日本代表、Jリーグの活動が終了。欧州でもドイツ、フランス、イタリアなどが短いウインターブレイクに入っている。イングランド、スペインのように年末年始も公式戦が組まれているリーグもあるが、一区切りのタイミングを迎えたと見ていいだろう。 【画像】ゲームを華やかに彩るJクラブ“チアリーダー”を一挙紹介! そこで24年の日本人ベストイレブンを選んでみた。まずGKだが、パリ五輪で圧倒的な存在感を示した小久保玲央ブライアン(シント=トロイデン)も良かったが、22歳にして欧州5大リーグのセリエAで定位置を掴んでいる鈴木彩艶(パルマ)を選出した。 鈴木の24年はアジアカップでの苦境から始まり、当時所属のシント=トロイデンでフル稼働。夏の五輪は回避し、新天地イタリアへ赴いて、瞬く間にポジションを掴んだ。その自信が9月からスタートした2026年北中米W杯アジア最終予選で色濃く出て、素晴らしい安定感を披露。名実ともに日本のトップGKの地位を築いた。その急成長ぶりは高く評価していいだろう。 守備陣は菅原由勢(サウサンプトン)、チェイス・アンリ(シュツットガルト)、町田浩樹(ユニオンSG)の3人を選んだ。日本代表でリーダー格の板倉滉(ボルシアMG)、24年上半期に目覚ましい働きを見せ、バイエルン・ミュンヘン移籍を勝ち取った伊藤洋輝らも候補ではあったが、「年間を通じたハイレベルな活躍と成長率の高さ」という観点で、上記3人がベストと判断した。 菅原は悲願のプレミアリーグへのステップアップを実現。クラブは最下位に低迷しているが、彼自身の新天地への適応はスムーズと見ていい。町田にしてもクラブと代表で穴のないプレーを維持しており、重要な選手になったのは確か。さらなる飛躍への期待も込めて抜擢した。 最も期待値が高いのはチェイス。2024年夏まではセカンドリーグを主戦場にしていたが、今季突入後はコンスタントにCBか右SBで出場。チャンピオンズリーグも経験しており、約1年間、同じチームで共闘した原口元気(浦和)も「何でも吸収しようという貪欲さは凄まじい。爆発的成長を遂げるのも納得できる」と感心していた。2025年の日本代表デビューも確実視されるだけに、グングン伸び続けてほしいものである。 ボランチは日本代表の絶対的中心となった守田英正(スポルティング)と、夏に赴いたドイツで異彩を放っている佐野海舟(マインツ)を選出。佐野は紆余曲折を強いられながらも初挑戦の異国でここまでやれるのは、たいしたもの。短期間でのステップアップを実現させてほしい。 そして守田だが、代表・クラブ両方での貢献度の高さが頭抜けており、“今年の顔”に相応しい選手だと言っていい。とはいえ、この1年間が全て順風満帆だったわけではない。アジアカップでは自身の立ち位置に戸惑い、一時は旗手怜央(セルティック)にポジションを奪われたこともあった。 そこから自分自身で考えを整理し、森保一監督らスタッフと密な意思疎通を図り、最適解を見出していった。それが最終予選以降のパフォーマンスに表われている。守田なくして今の代表は成り立たないといっても過言ではないだろう。