【三嶋まりえ奮闘記・第４回】

武豊騎手の偉大さを実感しました！

「明日の朝１０時においで」。前日に運良く出会ったＴ・マリンズさんの厩舎に行こうにも、バスは２時間に１本、タクシーはゼロ。午前８時にクロンメルからＴ・マリンズ厩舎近くのキルケニーに着くバスが出ているけど、クロンメルまで行くタクシーがいない…。どうやって行こうか途方に暮れていたところに現れた天使は、宿泊しているＢ＆Ｂのホストであるジョセフィーヌさんでした。「私のハズバンドに聞いてあげる」。５～１０分後に到着した車に乗り込み、キルケニー行きのバスが出ているクロンメルにたどり着くことができました！　ありがとう、ジョセフィーヌさん！ 【写真】まるでトレセン！広大な敷地内にある調教場 　１０時ぴったりにＴ・マリンズ厩舎に到着。２匹のワンちゃんが迎えてくれました。「ポピーとウォーターだよ」。元気いっぱいのウォーターに絡まれ続けながら、厩舎を見学。「彼女は日本から来たんだよ。アルリファーの追い切りに騎乗するために、ユタカ・タケが来るんだって！　彼女はその取材で来たんだ」とトニーさんがスタッフたちに説明すると、みんな口を揃えて「ユタカ・タケが！？」と驚きの表情。さすが日本が誇るレジェンドジョッキー。ここでも武豊騎手の偉大さを実感することになりました。 　１頭だけ調教が残っていて、調教も見ることができました。「この砂はシーサンドなんだ。それに合成繊維を細かくしたものが入っていて、かなり軟らかい。それで負荷がしっかりかかるんだよ」とＴ・マリンズ調教師。 　ライダーを乗せた馬は、右回りで２周した後に、左回りで２周。いつも右回りと左回りで調教をするのかと聞くと「ほとんどそうだよ。右回りで左に行くときに少し速めの速度でやる」と教えてくれました。 　ただ、より速い速度で走る追い切りはこの調教場ではなく、競馬場でやるんだそう。「ここではそこまで強い調教はしないんだ。なぜなら、速い調教をやるにはタフすぎて、筋肉が引っ張られてしまうから。それはあまりいいことではない。だから、追い切りをする時は、ゴーランパークやカラ競馬場に行ってやるんだ」と師。すべての厩舎がトレセンで調教を行う日本とは異なり、Ｔ・マリンズ厩舎では、競馬場と自分の調教場を使い分けているんですね。