「怒りを覚えてしまった…」元TBSアナが、統合失調症の女性を家に閉じ込めつづける両親に抱いた思い|映画『どうすればよかったか?』
2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。 【画像】20年にわたり、自分の家族にカメラを向け続けたドキュメンタリー映画『どうすればよかったか?』 TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。 第17回となる本記事では、現在上映中でミニシアターランキング(興行通信社)では驚異の3週連続トップとなっている話題のドキュメンタリー映画を紹介します(以下、アンヌさんの寄稿)。
北海道出身の監督によるドキュメンタリー映画
先日、9年ぶりくらいに映画館に行って参りました。 私の記憶が正しければ、最後に映画館で観たのは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)……テレビ局を辞めてからすっかり最新の映画を映画館で、という文化から遠ざかってしまっていたのですが、この度どうしても気になって仕方がない映画があったのです。 私が生活する北海道では札幌の「シアターキノ」という、アート系、ドキュメンタリー系を中心に上映をしている映画館1カ所でのみ上演(2025年1月初頭現在)。東京では上映館がどんどん増えつつあるようです。 その映画は、北海道出身である藤野知明監督の『どうすればよかったか?』。 ネットニュースなどではかなり話題になっている印象がありましたが、私の周りでは、この映画の存在について知らない方が多い印象でしたので、今回ご紹介したいと思います。
監督が自身の家族を20年間にわたり撮影した作品
映画のメインビジュアルには、昭和のさりげない家族団らんの写真が。 「どうすればよかったか?」というのは、藤野監督自身への、両親への、そして観客への問いなのです。 20年にわたり、自分の家族にカメラを向け続けたドキュメンタリー作品。 優しくて絵が上手くて、周囲から天使のようと褒められるほど素晴らしい才能に溢れた8歳違いの姉は、研究者である両親の影響から医師を志し4浪の末、医学部に進学します。 しかし彼女が医学部2年生のとき、何の前触れもなく夜中に叫び出し、統合失調症と思われる症状が出始めます。 その壮絶な録音音声や残された映像を見る限りは、専門家の診療が必ずや必要であろうと多くの人が思いそうな様子ですが、父と母はそれを認めることなく、適切な受診から姉を遠ざけます。 物事は進むことなく年月だけが過ぎ、家のドアには南京錠がかけられ、両親は姉を閉じ込めるようにまでなってしまいます。