優秀な部下の「まさかの離職」で泣きを見ないために…「給料を上げる」「仲良くする」よりも大事なこと
人手不足の現代にとって、「離職」は採用面や業務の効率面などに大きく作用するため、企業としては何としてでも防ぎたいもの。しかし、人間、根源的に抱く「4つの欲求」が満たされないと離職を考え始めてしまう……。『離職防止の教科書』の著書もある経営心理士・藤田耕司氏が、前編記事に引き続き、成長欲求と離職の関係について解説する。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ”
「優秀な社員に辞められないようにするためには…」
前編記事でお伝えしたように、組織をけん引するような優秀な人材は、成長欲求が強い傾向にあります。 だからこそ優秀なわけですが、「この会社にいても自分の成長はない」「成長に繋がるような新たな経験をさせてもらえそうにない」と感じると離職に向けて動き始めます。 このことを理解している企業の経営層もいて、人材派遣業で右肩上がりに業績を伸ばしているS氏(53歳)はこう話をされました。 「部下に新たな経験ができる機会を与え続けないと仕事に飽きて辞められてしまう。特に優秀な部下ほどね。 ただ、新たな経験の機会を与え続けるには会社も成長し続けないといけない。だから、現状維持ってわけにはいかないんですよ。現状維持は衰退の始まりなわけですよ」 また、介護事業で店舗を拡大し続けている社長K氏(51歳)はこう話しました。 「独立した頃は稼いでやろうと思って、事業を拡大しようと貪欲に動いてました。でも今はここまで事業が拡大して、まだ拡大したいかというと、正直そうでもないんですよ。 ただ、拡大が止まったら『もっと成長できる環境で自分を試したい』と言って、優秀な社員が辞めるんです。そうすると、他の社員も不安になって辞めたりするんです。 なので、優秀な社員に辞められないように拡大し続けるしかないんですよ」
成長の機会を与えることが離職防止のカギに
優秀な社員に長く働いてもらうためには、成長の機会を与え続けなければいけない。 そのためには会社が成長し続ける必要があるわけです。 これは決して簡単なことではありませんが、前出のK氏はこう話します。 「会社を成長させ続けるには、人を成長させ続けなければいけない。だから、『人の育成、人の成長』を何より重視しています。 優秀な社員は人の成長を重視している会社にとどまるんです。そのために、まず社長の自分が成長し続けなければならないし、その姿勢を見せなければいけない。 だから、成長の機会を貪欲に求めています。その点については覚悟を決めてますよ」 また、時代の変化が早くなる昨今、「組織や業界の将来に不安を感じた」という理由での離職も増えています。 この点、ずっと事業が拡大しない状況だと会社の将来に不安を感じやすくなります。 会社として成長し続けることで継続的に成長の機会を提供し、将来に対する不安を払拭することは社員の離職を防ぐうえで極めて重要になります。 そして、社員が定着して成長することでさらに会社が成長するという好循環を維持できるのです。