町屋が美術館に 「まちなみアートフェス」開幕 さまざまな芸術とコラボ/兵庫・丹波篠山市
国重要伝統的建造物群保存地区に指定されている兵庫県丹波篠山市河原町の「河原町妻入商家群」などの町屋を会場に16日まで、地元をはじめ各地の芸術家たちが作品展示を行う「丹波篠山・まちなみアートフェスティバル2024」(実行委員会主催)が開かれている。19―23日にも行われる。住民らが守ってきた伝統的な町屋が〝美術館〟に変わり、さまざまな芸術とコラボレーション。来場者らは、丹波篠山ならではのアートな空間を楽しんでいる。 9回目となる町屋の芸術祭。コロナ禍を受けて規模を縮小するなどの対策を取って開催してきたが、6年ぶりにほぼかつての姿に戻った。 河原町を中心に町屋25軒を会場に、造形や絵画、陶芸、ガラス、写真など多彩な感性を持つ作家38人と2組、1プロジェクトチーム、学生らが参加している。 市内にアトリエを構える芸術写真家の栗田紘一郎さんら写真家7人でつくる合同展示のほか、丹波篠山と同じく日本遺産のまちで、重伝建を擁する富山県高岡市からも作家を招いた。 また、篠山鳳鳴高校書道部が作品を展示し、アートを生かしたまちづくりを探究している生徒も参加している。 2009年、芸術と町屋の融合を通して地域に活気をつくり出すことを目的にスタート。町屋に住む人たちとアーティストが織り成す美の祭典として好評を博している。16年度に県芸術奨励賞を受賞。19年には文化庁地域文化創生本部発行の「文化財を活用したユニークベニューハンドブック」でも紹介された。 参加作家のあさうみまゆみさんは、「これだけ多くの作家が喜んで参加しているのは、都会のギャラリーとはまた違った魅力があるから。それは町屋で刺激を受け、次の祭典でも発表したいという気持ち。町屋の皆さんの協力と作家の思いがあって続いてきていると思う」と笑顔で話した。 実行委の中西薫委員長は、「先人が保存し、守ってきた町屋を、作家がその作品でいかに光を当てたり、輝かせたりするか。何より町屋に足を踏み入れてもらうことがアートによって実現する。ぜひ多くの人に見ていただきたい」と来場を呼びかけている。