「企業名+やばい」のナゾ...「ネット上の悪評消します」は怪しいのか?
先日、記者のもとに東証プライム企業の管理部門に勤めるAさんから、こんな相談があった。 「最近、ネット上の悪評を消さないか、という営業の電話が突然来るようになったんだけど、何か知りませんか? 怪しい気がしてならないんですが」 Aさんによれば、電話は「風評被害対策サービス」を名乗っているという。この背景には、何があるのだろうか。複数の事情通に話を聞いた。 ■キャリア採用の開始後に電話が急増 詳しい事情は、こうだ。これまで新卒採用一辺倒だったAさんの会社では、今年度から「キャリア(経験者/中途)採用」を開始し、転職サイトに求人が載るようになった。営業電話が相次ぐようになったのは、その後のことである。 「電話の人が言うには、Google検索で当社の名前を入れると、キーワードサジェストや『他の人はこちらも検索』に『やばい』という単語が表示される、というんです」 たとえば、「トヨタ自動車」で検索しようとしただけなのに「トヨタ自動車 やばい」が自動表示されたり、検索結果の末尾に表示されたりする、ということだ(なお、実際にはトヨタ自動車では表示されない)。 さらに電話は、このような状況を放置すると、求人を見た人が社名で検索したときの印象が悪くなるので、対策を打つべきだという。 「そこでGoogleで検索すると『やばい』が出てきてびっくりしました。でも私は、以前からネット上の評判を注意して見ていたので、それが最近になって急に出てきたものだと思うんです」 Aさんが疑っているのは、対策サービスの会社が悪意をもってそのような表示がされるように細工し、同時にサービスの購入を呼びかける「マッチポンプ」のようなことをしているのではないかということだ。 「どうやってそんなことができるかは分かりませんけど、だって、あまりにもタイミングがよすぎますよ。うちの会社の上の方はこういうのほんと気にするし、体面を気にしてお金を出しそうだし。サジェストで『やばい』が出てくれば、みんなクリックするのでますます上位になりますよ、と言われると不安になります」