ジョンロブの最終進化形
スニーカー感覚で雨の日も履けるフォーマル顔
いつもに増して柔らかで、軽やか。その履き心地に驚き、仔細に観察すればヴァンプが明らかにしんなりしている。従来の「シティ 2」と同じカーフを採用しているというから、アンライニングなのかと中をのぞけばフルライニング仕立て。 スニーカー感覚で雨の日も履ける、フォーマル顔なジョンロブを見る! 降参して種明かしをしてもらったところ、カーフとともに釣り込むコットンなどの副資材を排除しているとのことでした。
とくれば形状保持の面が気になるところですが、トウキャップとカウンターにしっかり芯が入っているのでその心配はいりません。 無理なく(=ドレスシューズとしての面目を保ちつつ)ダイエットした結果がこの靴、といえるのではないでしょうか。
その履き心地を左右するもうひとつの大きなポイントは、あらたに開発されたフレクシーラスプソールなるソールにあります。単なる薄手のラバーかと思いきや、構造にまでメスを入れています。
サイドビューに目を凝らせば、ソールはレザーとラバーの2層構造で、そのラバーがかかとまで地続き(!)になっていることがわかります。つまり、レザーヒールはラバーソールの上に乗っている、という寸法です。 文章に起こすのもやっかいなその構造の勘どころは、底面全体をラバーで覆う(=水の侵入を許さない)こととドレッシーな佇まいの両立にあります。
その底まわりにはコルクではなく、天然ラテックスを充填しているのもポイント。従来の通気性据え置きで、柔軟性が増すといいます。 スニーカー感覚で雨の日も履けるフォーマル顔――そう胸を張るのももっともなこのコンストラクションは24SSに登場した「ブリストル」ではじめて搭載したものだそうで、看板商品である「シティ 2」に搭載してきたということは、それはすなわち自信のあらわれ。なにはなくとも試し履きされることをおすすめします。
竹川 圭