【全日本大学駅伝】上位3校に割って入るため、必要なのは攻めの走り 創価大・榎木和貴監督「ロードレースではなく、駅伝を」
11月3日に開催された第56回全日本大学駅伝で、創価大学は10月の出雲駅伝に続く4位だった。2区で吉田響(4年、東海大静岡翔洋)が区間新記録ペースでレースを引っ張り、けがの影響で10月の出雲出走を見送ったスティーブン・ムチーニ(2年、ミクユニ)も復帰。ただ、上位3校に割って入ることはできず、榎木和貴監督は「攻めの走りができる選手を増やさないといけない」と振り返った。 【写真】笑顔でフィニッシュテープを切るアンカーの野沢悠真
吉田響「自分のペースでガンガン押して勝ちきる作戦」
各チームが牽制(けんせい)し合ってスローペースでレースが進み、ラストスパート勝負となった1区。創価大は、出雲で3大駅伝デビューを果たした小暮栄輝(4年、樹徳)が担った。「ついていく走りはピカイチ。ラストにもしっかりと残せる選手」という榎木監督の期待通り、小暮は昨年の日本インカレ男子10000mで日本人2位に入ったスピードを生かした。区間賞の日本体育大学・平島龍斗(3年、相洋)とは2秒差の3位で、2区の吉田響に襷(たすき)を渡した。 出雲と同様に、伊勢路前半のエース区間と言える2区を任された吉田響。榎木監督は「本人の希望で『2区に行きたい』ということだったので、流れを作るところは響に任せました」と当日変更で2区に投入した意図を明かせば、本人は「自分が1番に上がって、2位以降と差を開くことが役割だった」と振り返る。駒澤大学の佐藤圭汰(3年、洛南)が前回大会でマークした31分01秒の区間記録を念頭に置き、30分台を狙うという覚悟を持ってスタートした。 5kmを13分52秒~53秒で通過し、区間新を上回るハイペースにも、吉田響は「設定タイム通り」。この時点で先頭集団は青山学院大学の鶴川正也(4年、九州学院)や東京国際大学のアモス・ベット(2年、セントピーターズイテンデイ)ら7人。「前に出させたら絶対に勝てないと思ったので、自分が前で走るんだ、という気持ちは捨てませんでした」と積極的に引っ張った。1人、また1人とこぼれ落ちる中、鶴川だけは最後まで振り落とせなかった。第3中継所までデッドヒートが繰り広げられ、チーム順位は秒差なしで決着。ただ個人としては、1秒だけ鶴川に先着を許した。 「鶴川君はラストスパートが強いので、そこになったら勝負が怪しくなってしまう。自分のペースでガンガン押して、我慢比べじゃないですけど、そこで勝ちきるという作戦でしたが、ちょっとはまらなかったです。後半は向かい風の影響もあって、だいぶきつかった。何回も垂れそうになったんですけど、(石丸)惇那(3年、出水中央)の顔が見えて『1秒でも早く届ける』ということを思い出せたので、何とかとどめられた」