「認知症になったかも?」と不安になったら「お金の管理」はどうする?65歳から利用できる「財産管理の制度」【介護ジャーナリストが解説】
2020年の国勢調査によると、65歳以上の高齢者の5人に1人が一人暮らしです。もし、一人暮らしの高齢者が認知症等を患った場合、金銭の管理が危うくなります。そういう場合に備え、老後の「財産管理」に役立つ公的制度の利用が考えられます。介護ジャーナリストの小山朝子氏の著書『ひとり暮らしでも大丈夫! 自分で自分の介護をする本』(河出書房新社)から一部抜粋して紹介します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
日常のお金の管理に不安を感じ始めたら相談を…「日常生活自立支援事業」
ひとり暮らしで年を重ねると「もの忘れが多くなったらお金の管理が不安」という人もいるのではないでしょうか。特に、認知症を発症してしまうと、金銭管理がおぼつかなくなってしまうので、そうならないうちに、対策を講じておく必要があります。 まず、社会福祉協議会(社協)が、軽度の認知症などの人を対象に、日常的な金銭管理のほか、通帳や金融機関届出印の保管などを代行する「日常生活自立支援事業」を行っています([図表1]参照)。 福祉の専門職である生活支援員のサポートを得て、必要な社会資源につないでもらうことができます。支援の頻度が高く費用が安価というメリットがあります。 社協は民間の社会福祉活動を推進することを目的とした組織です。全国社会福祉協議会を筆頭に、都道府県、市区町村で活動しています。最も身近なのが市区町村の社協で、車いすを一時的に無料で貸したり、車いすごと乗れる軽自動車を貸すサービスを行っているところもあります。 日常生活自立支援事業は、以下のような悩みを抱える方におすすめです。 ・福祉サービスを使いたいが、どうすればいいかわからない ・最近もの忘れが多く、預金通帳をちゃんとしまったかいつも心配 ・計画的にお金を使いたいが、いつも迷ってしまう ・介護保険関係の書類がたくさんくるが、どう手続きしたらいいかわからない ただし、限界があります。このサービスを利用するには契約を結ばなければならないので、契約時に意思が確認できる人に限られます。また、生活支援員は法的権限をほとんど持たず、契約等を代わりにしてもらうことや、家族・親族に代わって身元保証をしてもらうこともできません。 あくまで、日常生活のサポートにとどまる点に注意が必要です。 筆者の実家がある地域の社協では、車いすで乗れる福祉車両で希望の場所にいける移動サービスや、不要になった福祉用具を必要な人に提供するリサイクル事業をおこなっており、よく利用していました。お住まいの地域の社協のホームページでどんなサービスがあるかを確認しておくとよいでしょう。