一酸化炭素中毒の治療に効果期待 世界初の物質『hemoCD』 開発した教授は北新地放火事件で悔しい思い...「薬のポテンシャルが続く限り絶対実装まで持っていきたい」
(娘)「(Q発表の時はよくお父さんに聞いてもらう?)スライド発表とかめっちゃ聞きたがるから。(Q夢は?)お父さんが勉強教えるのが得意やから、お父さんみたいに他の人にもわかりやすく教えられたらいいなと」 わが子の学びにも熱く向き合う父の姿は子どもたちの憧れです。
「実用化されれば心強い」医療現場の声
2月2日、北岸教授は大阪大学医学部附属病院の高度救命救急センターを訪れていました。研究室で発見された「hemoCD」はすぐに現場で薬として使われるわけではありません。実用化に向けて現場の医師の声を聞きに来ていたのです。 高度救命救急センターの米田和弘医師は、これまで火災による患者を多く診てきた経験があります。火災で多くの人を死に至らしめる一酸化炭素中毒。現代の医療では治療に課題があるといいます。 (米田和弘医師)「基本的にできることは、一酸化炭素中毒に限ってでいうと、酸素投与しか現状、治療法がない」 多くの酸素を投与して一酸化炭素が抜けていくのを待つ処置しかできず、どれだけ早く対応できるかがカギになるといいます。そこで向かったのは、医師が最も現場の近くまで行くことができるドクターヘリ。 (北岸教授)「(ヘリの中は)狭いですね」 (米田医師)「めちゃくちゃ狭いです。見てもらったらわかる通り、中で処置するのは不可能に近いんですよね。一酸化炭素中毒という話になると、現場から病院に連れてくるまでにできることは酸素投与しかないので、現状では酸素投与をしながら」 限られたスペースしかないヘリの中で「hemoCD」があれば注射だけで治療ができるため、北岸教授も手ごたえを感じていました。 (米田医師)「薬(hemoCD)も現場にありさえすればもちろん打てますので、実用化されればそんな心強いことはないかなと」 (北岸教授)「そういっていただけるとモチベーション上がるので、ありがとうございます」
「薬のポテンシャルが続く限りは絶対実装まで持っていきたい」
同志社大学の研究室では今、実用化に向けて純度を高め、しかも安くつくるための研究が進められています。まだ誰も見たことのない、世界で初めての発見を研究室の片隅で実感する。それこそが研究者の醍醐味だという北岸教授。「hemoCD」が社会の役に立つ日を夢見てきょうも白衣をまといます。
(北岸宏亮教授)「実験者として確信を持ってるわけですけども、やっぱりどこかでつまずく可能性があるわけですね。重大な副作用があったとか、それだともう諦めざるを得ないんですけども、薬のポテンシャルが続く限りは僕も絶対実装まで持っていこうと思っています」 (2024年2月22日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『特集』より)