一酸化炭素中毒の治療に効果期待 世界初の物質『hemoCD』 開発した教授は北新地放火事件で悔しい思い...「薬のポテンシャルが続く限り絶対実装まで持っていきたい」
体内の一酸化炭素と結びつき尿として排出
そんな中、北岸教授らが開発した「hemoCD」は一酸化炭素中毒の治療に効果が期待できるというのです。血液中のヘモグロビンと似た働きをすることから、そう名付けられました。
「hemoCD」の仕組みはこうです。通常、血液中のヘモグロビンが酸素を体中に運んでいますが、一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結びつきやすく酸素を体に運べなくなります。「hemoCD」は一酸化炭素と非常に結びつきやすい性質があり、体から一酸化炭素を取り除いて尿として排出してくれるといいます。
「hemoCD」の効果は実験でも実証されています。一酸化炭素などの中毒状態になったマウスに「hemoCD」を注射します。最初は動くこともできずぐったりとした状態ですが、約30分後、マウスが動き始める様子が確認できました。さらに約2時間後にはマウスの尿から注射した量の「hemoCD」がすべて排出されていて、体内に薬品が残らないということもわかりました。
きっかけは“実験の失敗” 「知ってるものより赤いなと思って調べたら…」
火災の現場で多くの人の命を救うかもしれない「hemoCD」。実は、北岸教授が“楽しい”と日々取り組んでいた実験の失敗から生まれたものでした。もともと人工血液をつくる研究をしていた北岸教授。実験でマウスに投与すると、すぐに尿としてすべて排出されてしまいました。 (北岸宏亮教授)「人工血液として使いたいときに尿から全部出てくるというのはネガティブな情報でしかないわけで、非常にがっかりしたわけですね」 ただ、長年実験に向き合ってきた経験と観察眼がわずかな変化を見逃しませんでした。 (北岸宏亮教授)「ボーっと見ていたら、なんかちょっと赤いんですよね。いつも知ってるものより赤いなと思って、せっかくやしこの尿をちょっと調べてみようかなって調べたら、一酸化炭素が結合していたということがわかったんです」
家では子どもたちと一緒に勉強する“熱血パパ”
大学で研究に熱中する北岸教授。家に帰ってからも子どもと一緒に勉強に取り組む熱血パパです。この日は、高校生の娘の発表練習を見てあげていました。1月には息子の中学受験があり、毎日一緒に勉強して無事合格したといいます。