人口の2/3が“泳げない国”インドの水泳コーチに岡崎市のスイミングスクールが水難訓練を実施! 着衣泳に、陸でもできる卓上授業...水害大国ニッポンで培ってきた知識と経験を伝授
同団体では、アメリカやシンガポールでも水難訓練を展開。過去にはインドで水難訓練を実施しており、インドの女子大学で女子学生を対象に机上授業「サリー着用時の水難訓練」を行ったこともありました。 『岡崎竜城スイミングクラブ』の大森玲弥さんによると、サリーは体に巻き付けるインドの伝統衣装ですが、サリーを着た状態で水に入ると、足が取られてとても危険。
しかし、チェンナイ市で現地の女性たちにヒアリングをしてみたところ、「溺れていようと、人前でサリーを脱ぐくらいならそのまま死ぬことを選ぶ」と答える女性が少なくなかったといいます。 そこでサリー着用時の水難訓練では、着水時における数々の問題を考慮して、まずは“知ること”に注力。サリーを着た状態で溺れてしまったらどうなるのか、どのような体勢をとるべきなのかなど、講義という形で訓練を実施したといいます。
インドという国の文化や環境に合わせて行われた水難訓練。日本で行われる水難訓練と異なる部分はあるのでしょうか。
大森さんによると、『岡崎竜城スイミングクラブ』内で行われる水難訓練は、生徒の“泳力”に合わせて実施。泳力が高い子であれば、着衣の状態で水中で障害物競争をしたり、波を起こしてその中を泳いだりと、実際の水害を想定したハードな内容となっているそう。
クラブ外で行う水難訓練は主に2種類に分かれ、1つ目は地元の小学校や幼稚園等で行う、水中で「浮いて待て」をベースとする“泳力がない人”に向けた訓練。2つ目は法人などを対象に、プールがなくても行える机上での水難訓練です。 インドでは、泳力が低い人が多いため、日本よりもさらに基本的な内容を実施。“浮き身”をとることすらできない人が多くいるため、ベースにある理論はそのままに、大人を対象とした訓練でも、日本では子ども向けに実施している内容を行っているといいます。
言語や文化が異なっても、「命を守る」という課題は世界共通。これらの活動を記したプレスリリースは、「インド=泳げない国」という意外性のあるワードと、“スイミングスクールによる水難訓練”という真摯な取り組みなどが評価され、PR TIMES社主催の「プレスリリースアワード2024」にて「特別賞」を受賞。 審査員からは、「水害にみまわれることが多い日本で蓄積されたノウハウを海外へ伝えていく覚悟と信念を感じさせるリリース」と、発信面でも高評価を受けました。