全国の工芸ギャラリーが推薦!「応援したい輪島塗の作り手」近況と作品3選
輪島を拠点とする多くの漆芸作家たちは、被災し、避難生活を余儀なくされながらも、再開の道を懸命に開こうとしています。これまでのような制作ができず、作品のストックがない作り手も多い現状ですが、いずれは買って支援につなげたいもの。 現在は入手できなくても、「いつか」はきっと訪れる。制作の再開を祈るギャラリストたちに、作り手たちの近況を教えていただきました。
箱瀬淳一(はこせじゅんいち)さん
■「ギャラリーおかりや」が応援 「このスキットル(参考価格102,300円)、ぐい呑み(参考価格右49,500円、左39,600円)の遊び心!スキットルはほかに黒地に雪華、暗紺地に秋の夜空なども制作されていました。こんなにわくわくする作品を作れる人はそういません。毎年秋に個展を開催するようになって24年、尊敬の念ともに、心を許せる存在でもある箱瀬さん。震災後、ギャラリーに来られて『大丈夫、秋の個展はやるから』とおっしゃり、私はただ『開けて待っていますから』とお答えしました。工房のお弟子さんたちのことをいちばんに考え、仕事はしばらくは自分ひとりでできることをやっていくとのこと。気概のある人です。信じて待っています」(店主・小笠原啓子さん) 【ギャラリーおかりや】 東京都中央区銀座4-3-5 銀座AHビルB2F 営業時間/11時~19時(展覧会最終日は17時まで) 定休日/火曜
YUKAKU優角(ゆうかく)さん
■「縁煌(えにしら)」が応援 「輪島漆芸技術研修所でともに学んだ茨城出身の諸石優子さん、神奈川出身の諸石健太郎さんの塗師ユニット・YUKAKU優角。『福福』(参考価格165,000円)と名付けられた片口は、脱乾漆技法を学ぶために作っていた漆の球から着想した初期の代表作。その後も改良を重ねて制作しています。地震に伴う火災で自宅兼工房が全焼し、優子さんの茨城の実家に避難。失った道具や材料を譲っていただくツアーを繰り返し、健太郎さんは輪島との行き来も重ねて、最近、輪島の仮設住宅に移られました。小さな規模で頑張っている作家さんたちが、この先も活動を続けるためのサポートを果たせる存在でありたいと考えています」(店主・野原 歩さん) 【縁煌】 石川県金沢市東山1-13-10 営業時間/10時~17時 不定休