【選挙ポスター問題】貼る位置が高すぎて訴訟へ、現職が偽造……都知事選だけじゃなかった!選挙ポスターにまつわる今昔物語
今回の東京都知事選は今までの選挙では見られない驚くべきことが複数起きており、この点でも世間の注目を大いに集めています。この中でもポスター掲示場の板に入りきらない候補者がいるなど、選挙ポスターに関する話題は特に注目を集めています。今回は過去にあった選挙ポスターにまつわる話をいくつか紹介します。
2枚のポスターを組み合わせてはいけない
ポスターに関するルールはあまり多くありませんが、ポスターの最大サイズは公職選挙法で規定されており、無制限に大きなポスターを作ることはできません。しかし、2枚の異なる規定サイズ以内のポスターを作り、それを組み合わせて掲示するということが過去に流行ったことがありました。このことが公職選挙法違反になるのかという裁判になったことがあります。 この組み合わせたポスターをめぐって裁判になったのは1966年の兵庫県の川西市長選でした。伊藤龍太郎という当選した候補の陣営は図に示したように組み合わせることで顔になる2種類の規定サイズ以内のポスターを作成し、これを組み合わせて市内各所に掲示しました(当時は定められたルールを守れば、ポスターを様々な場所に貼ることができました)。このことについて、サイズのルール違反では、ということで裁判となり、地裁では無罪になったものの、最終的に2種類のポスターを組み合わせて新たな1枚のポスターが生じると判断され、組み合わせポスターは違法との判決が下ったのです。
現職都知事が偽造!証紙集めがブームに!?証紙をめぐる昔の大騒動
現在は選挙ポスターは指定された掲示板にしか貼ることができない選挙がほとんどですが、前述したように過去にはルールを守ればポスターを色々な場所に貼ることができました。このルールの1つにポスター枚数の制限があります。この枚数管理の方法の1つに選管が定められた数のポスター証紙を各陣営に渡し、これをポスターに貼らないと掲示ができないというものがあります(今回の都知事選でも確認団体のポスター※でこのような証紙を見ることができます)。 筆者注※確認団体は候補者ではないため、ポスターに具体的な候補者名や写真、似顔絵を掲載することはできませんが、確認団体のポスターは候補者を推測できるような文言や候補者のシルエットと思われる画像を掲載していることが多いです。 しかし、制限を超えてポスターを貼ろうとして証紙を偽造したという事例が複数あります。 例えば1963年の東京都知事選では現職の東龍太郎陣営が組織的かつ大規模なポスター証紙偽造を行ったことが発覚し、これに関わった複数の人が有罪になりました。また、この選挙ではポスター証紙偽造事件を筆頭に様々な不正が発覚したことで選挙無効の訴訟を起こされましたが、こちらは選挙有効との判決が下っています。 他の証紙絡みの犯罪としては敵対候補の貼ってあるポスターの証紙をはがすという政治的な意図を持った妨害的なものから、子供たちの中でポスター証紙集めが突然流行りだしてしまい、次々と無差別に証紙がはがされてしまったという非政治的なものもありました。