斎藤元彦兵庫県知事「風向きを変えたいと発言をしたことはない」最終尋問で疑惑を真っ向否定
斎藤元彦兵庫県知事(47)の疑惑告発文書問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)が25日、斎藤氏への最終尋問を行った。 尋問は3度目で、失職後の知事選で再選されてから初めて。パワハラなどの疑惑7項目を総括的に検証した。斎藤氏と県幹部で証言が食い違った部分などについて質疑があったが、斎藤氏は「風向きを変えたいという発言をしていない」と真っ向から否定した。また、追及する県議から失笑が漏れるシーンもあった。 ◇ ◇ ◇ 午後3時ごろ、無数のカメラのフラッシュを浴びながら斎藤氏が最後の証人尋問に姿を現した。いつもの“ポーカーフェース”で約2時間半にわたって質問に答えた。民意を受け知事に復帰した自信もあったのか、委員の県議の尋問に言葉を強めるシーンもあった。 10月の百条委では、側近の元総務部長らが告発の文書を作成した県西播磨県民局長だった男性への処分は「公益通報の調査結果が出てからのほうがいい」と進言したが、斎藤氏が「風向きを変えたいよね」と話したと証言。元総務部長らは、この発言を「指示」と受け取り、男性への処分を早めた。自らの批判への風向きを変えるため処分したともとれる発言について、斎藤氏は「私の認識、記憶では『風向きを変えたい』という発言をしたことはまったくない」と真っ向否定した。 斎藤氏の尋問の前には、公益通報の専門家として結城大輔弁護士が通報の調査結果が判明する前に通報者に不利益な扱いをすることは「許されない」と証言。男性を処分した対応を問題視したが、斎藤氏は「手続きを経て適切に対応した」と繰り返した。 複数の委員からは告発した男性のパソコンに保存されていた私的情報が外部に漏れた疑いがある問題について質疑があった。斎藤氏は「第三者委員会で事実関係を調査し、しっかりと対応していく」と述べた。県政のトップが重大事案と判断し、刑事告発を視野に入れるべきではとの意見に「弁護士を入れた第三者委員会を立ち上げて…」と何度も同じ回答を繰り返すと、委員は失笑し「もうけっこうです」と打ち切った。 尋問後、斎藤氏は「県民の理解を得られるように努力した」と淡々と話したが、傍聴した神戸市の50代の男性は「“官僚答弁”ではなく、もっと自分の言葉で話してほしかった」。白か黒か。それともグレーか。百条委は2月議会の開会日を目標に、調査報告書を提出したいとしている。【松浦隆司】