【40代・50代の肝臓のトリセツ】脂肪肝の改善をサポートする「水溶性食物繊維」や「ビタミンB群」に注目。脂肪の増加を抑える効果のある食材とは?
肝臓に余分な脂肪が蓄積した状態、脂肪肝は肥満になる。脂肪肝を改善するには、糖質を控えめにするほか、余分な糖の吸収を抑え、代謝を促す食事を心がけたいものだ。今回は、脂肪肝を予防する食事について、肝臓の専門医であり、メタボリックシンドロームや糖尿病など生活習慣病の予防と治療を目的とした診察を長年続けている栗原毅さんに詳しく教えてもらった。
「脂肪肝」になると、なかなか痩せられないのはなぜ?
肝臓に余分な脂肪が蓄積した状態、「脂肪肝」になると、痩せようとしてもなかなか痩せられない。それは肝臓の働きのひとつである、痩せるために大切な「代謝」が、過剰に蓄積した脂肪によって邪魔され、うまく機能しなくなってしまうからだ。「ダイエットを成功させたい!」という人は、肝臓に余分な脂肪が蓄積しないように注意しよう。 そのためにはまず、脂肪のもとになる糖質をとりすぎないようにすることが大切だが、さらに、摂取した糖質の吸収スピードを緩やかにして血糖値を急上昇させないようにする栄養素や、糖質を効率よくエネルギーに変えて消費する栄養素を積極的に摂取すると、余分な糖質が中性脂肪になって蓄積するのを抑えることができる。 では、脂肪肝予防のお助け栄養素とは?そして、それらはどんな食材に含まれているのだろうか?
水溶性食物繊維が糖質の吸収を抑える
「今回は、中性脂肪が増えすぎないようにするために、積極的にとりたい栄養素と、それを多く含む食材についてご説明しましょう。 まず、注目したいのが『水溶性食物繊維』です。その理由のひとつは、水溶性食物繊維が腸内で分解される過程で『短鎖脂肪酸』を生み出すからです。短鎖脂肪酸は、『腸のエネルギー源』と言われ、腸の免疫力を活性化するなどの作用で知られていましたが、近年の研究により、やせ型の人の腸内に多く、『脂肪の蓄積を抑える働き』があることが確認されました。 余った糖質や脂質は中性脂肪として、体内の脂肪細胞に蓄えられますが、これらの中性脂肪をためておくことは、ある程度、人間にとって必要なもの。飢餓状態など、エネルギー源が枯渇したときのために蓄えておく必要があるからです。 ところが、蓄えておくべき必要量を超えて、体内で消費できなかった中性脂肪が蓄積されると、脂肪細胞がどんどんふくらんでいきます。これが『太る』という現象です」(栗原先生) そこで今、この「脂肪細胞が中性脂肪を蓄えていく働き」を抑える働きを持った「短鎖脂肪酸」に注目が集まっているそう。 「『短鎖脂肪酸』は血流にのって運ばれ、全身の脂肪細胞に働きかけます。また、水溶性食物繊維の効果は、短鎖脂肪酸を作り出すだけではありません。水溶性食物繊維は、腸内で糖が吸収されるのを妨げる働きがあるので、血糖値の上昇を抑え、吸収スピードを穏やかにする働きがあります。こうした効果をより高めるには、水溶性食物繊維が豊富な食材は、食事の最初にとるようにするとよいでしょう」