ドジャースの主力選手は”コスパ最強”!? 高額年俸だらけでも新たな”大型契約”に動く…?【コラム】
メジャーリーグでも前人未到となる「50-50」の記録を打ち立てようとしているロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平。メジャー史上最高額とされる大型契約を結びドジャースの一員となったが、同球団には大型契約を結んでいる選手が数多くいる。今回は、ドジャースと大型契約を結んでいる選手と、その貢献度を見ていきたい。(文:Eli)
大型契約”真っ只中”の選手の評価は…?
米分析サイト『Fangraphs』のBen Clemens氏は2021年に書いた記事の中で、フリーエージェント市場で1.0 fWAR(代替可能な選手と比べてどれくらいの価値を創出しているかの指標) を獲得するためにチームは平均的に850万ドルを費やしているとしている。 この1.0fWAR = $8.5Mの関係はインフレ率や市場の活気具合などから年々変化するものだが、ここでは簡略化のために関係が常に成り立っているものとして計算する。 契約を評価するロジックは以下の通りである。1.0WAR = $8.5Mの式を基に選手がどれくらいの金額分の活躍をしているかを計算し、契約金額通りの活躍をしていれば順調、契約金額以上の活躍をしていればバーゲン、金額以下の活躍ならば失敗となる。 例えば、大谷翔平が結んだ10年$460M(後払い圧縮後)の契約は1.0fWAR = $8.5Mにより契約期間中に56.47 fWARを稼げば良いことになる。 球団の結ぶ契約の評価には様々な要素が付きまとうが、今回は単純かつ客観的に評価するためにこの手法を採用する。なおリリーフ投手はプレー時間の関係から同じ基準では評価しづらいので除外する。 ムーキー・ベッツは今季が契約4年目で契約の1/3を迎えるが、順調な道をたどっている。既に契約が期待するfWARの半分を達成している。上位打線+ライト守備という契約当初求められた役割に加えて、内野守備、しかも最も負担の大きいショート守備にも挑戦しチームのピンチを救っている。 今季からは大谷翔平の陰に隠れてしまっているが、やはりドジャースを支える大黒柱である。まもなく32歳と言う年齢からも、この先2年くらいはこの活躍が続くだろう。 フレディ・フリーマンは35歳という普通の選手では引退を考える年齢であるにも関わらず、依然オールスターレベルのパフォーマンスを保っている。 今季が契約の折り返し地点となるが、既に金額分の活躍を全て達成してしまう勢いで、契約は既にバーゲンとなりつつある。 毎日休まず試合に出続け活躍する安定性が魅力で、契約期間中の全試合数の内97%に出場している。今季はここまで2019年以来、久しぶりに打率が3割を切ってしまっており、若干の衰えが見られるが、衰えが急激に来るアスレチック系の選手ではないので、契約の残り半分もある程度の活躍は続けられるだろう。 先の2人と比べて失敗契約になってしまっているのがクリス・テイラーだ。2021年のオールスター出場シーズン後に4年契約を結んだが、元々低打率・多三振だった打撃スタイルがさらに進行してしまい、今季はマイナスfWARを記録してしまった。 もっとも、テイラーに求められるのはスターとしての活躍ではなく、どこでも守れるユーティリティープレイヤーとしての役割であり、この点がfWARに反映されていない面もあり、ある程度の考慮はすべきだ。 今季の失敗はどうすることもできないので、数々の名場面を生み出してきたプレーオフでの活躍を期待したい。