公選法違反疑惑の斎藤知事…PR会社代表を「親しくない」発言は「泣いて馬謖を斬る」か「冷徹な闇バイト切り」か
「嘘に嘘を重ねる」「嘘で固める」――。もはや誰が真実を語っているのか分からなくなってきた。17日に投開票された兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦知事(47)に浮上した公職選挙法違反疑惑のことだ。 【写真】過去にもあった「公序良俗ギリギリ」のきわどいポスター 同県内の広告会社「merchu(メルチュ)」の折田楓代表(32)がブログで斎藤氏の選挙戦を巡るSNS戦略を投稿。「広報全般を任された」「仕事」などと書き込んだことで広がった疑惑は、関係者が説明をするほど次々と「矛盾」が浮上。グダグダな状況になってきた。 指摘されているのが、メルチュが請け負った選挙ポスター、チラシ制作などを巡る71.5万円の支出、契約書に関する「食い違い」だ。 斎藤氏の代理人弁護士はこの支出について「後援会名義」と説明。しかし、総務省が公開している「選挙運動費用収支報告書」を見ると、記入者は「公職の候補者」とあり、兵庫県知事選の場合は斎藤氏であって、なぜ後援会が支出主体となるのか分からない。 元総務官僚で立憲民主党の小西洋之参院議員(52)も自身のX(旧ツイッター)で、《斎藤知事の代理人の説明は意味不明。公選法上、選挙費用の支出人は候補者(知事)で「後援会名義の支払い」などあり得ない。選挙のポスター、チラシなどがなぜ後援会の支出になるのか。「選挙公報デザイン制作5万円」に至っては常識的に候補者支出しかあり得ない》と書いていた。 ■斎藤氏は契約書について「ない」とは答えなかった さらに斎藤氏の代理人弁護士は「(メルチュとは)口頭契約で、契約書として書面は存在していない」と説明しているが、25日に東京都内で開かれた全国知事会に出席した斎藤氏は直後、報道陣から「契約書の内容はどんな内容だったんでしょうか」と問われた際、「ない」とは言わず、ハッキリと「ポスターの制作等です。そちらについても代理人の方が整理をしています」と即答していた。 この疑惑の肝でもあるSNS運営の主体を巡っても斎藤氏側は、「SNSは斎藤陣営が主体となって運営し、PR会社の代表は街頭演説にボランティアとして個人で参加された」と説明。しかし、折田氏はネットの投稿プラットフォーム「note(ノート)」に知事選で斎藤陣営の「広報全般を任せていただいた」とし、斎藤氏の選挙戦略立案やSNSアカウントの立ち上げ、コンテンツ企画などを手掛けたとも書いていた。 「親しくさせていただいていたのではない」。斎藤氏は折田氏についてこう断言したわけだが、SNS上ではこんな声が広がっている。 《親しくない人に大事な出直し選挙を手伝ってもらい、しかも口頭契約って。闇バイトか》 《親しくない人が突然、自分の選挙カーに乗り込んできてスマホ撮影を始める(笑)》 《親しくない人が社員を総動員させてボランティアで選挙活動を手伝ったの?》 斎藤氏の代理人弁護士は神戸新聞の取材に対し、「(折田氏の)ブログは事実と異なることが記載されている」とも話しているという。 斎藤氏は果たして「泣いて馬謖を斬る」決断をしたのか、それとも「闇バイト」の指示役のように折田氏を突き放す冷徹な判断を下したのか。今後の真相解明が望まれる。 ◇ ◇ ◇ 出直し選挙で返り咲きを果たした斎藤元彦兵庫県知事。●関連記事【もっと読む】で『斎藤元彦知事“火に油”の言い逃れ…知事選でのPR会社「400人分の仕事はボランティア」の怪しさ不自然さ』【さらに読む】で《「終わらない兵庫県知事選」の行方…新たな公選法違反疑惑浮上で捜査機関が動く“Xデー”は》を取り上げている。