トヨタが考える生成AIとモビリティ産業の関係…オートモーティブワールド2024
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オートモーティブワールド2024にて「モビリティ産業の生成AIへの向き合い方について」と題したセミナーが開催された。登壇者は、トヨタ自動車 先進データサイエンス統括部 竹内康臣氏。 モビリティ産業における4つの生成AI活用領域 自動車業界においてAIは自動運転技術要素として欠かせないものとなっている。だが、産業におけるAI活用という視点では、自動運転はその一部でしかない。竹内氏は、生成AIをはじめとする各種AI技術の活用領域を整理することから講演を始めた。 トヨタ自動車 先進データサイエンス統括部 竹内康臣氏 製造業、メーカーにとってAIの活用領域を分類するにあたり、利用目的がものごとの改善なのか、価値創造なのかという評価軸があるとする。さらにそれを社内オペレーションなど内部に適用するのか、製品や商品などに適用していくのか、という軸もある。これを4象限のポジショニングマップで考える。 AIを、ものごとの社内オペレーションの改善に使う場合を第1象限とし、次に製品などの改善に適用する場合を第2象限とした。さらに社内オペレーションに付加価値を加える領域の第3象限、新商品の創出・新価値商品の開発に使う場合を第4象限とした。 4つの領域の特徴とどれが最も重要か? 第1象限は、文書整理、資料作成、調査情報の整理、検査支援など業務改善。第2象限は、コールセンターやナレッジベースへのAI活用。ユーザー向けチャットボットなど、ユーザー向けの業務改善。第3象限は、設計や開発支援、プログラムや仕様書の生成、技術伝承、需要予測など業務変革。第4象限は、具体例はこれからのもので例示しにくい(竹内氏)が、モビリティ新価値創出。このように言い換えることが可能だ。 それぞれは、導入ハードルが最も低い(1:第1象限)、導入しやすいが従業員やサービス提供者の代替がハードルになる場合がある(2:第2象限)、データやシステム環境、業務プロセスの変更が必要だが導入効果(効率化)が高い(3:第3象限)、初期段階のリターンが低くもっともハードルが高いが、将来への投資として必要(4:第4象限)といったさまざまな特徴・特性がある。 竹内氏は、「4つの領域でどれがもっとも重要か?」と問いかける。市場効果が期待できる2だろうか。長期的な視点で4は必須なのだろうか。答えは、「月並みだが、各領域を評価する時間軸の違いであってどれも大事である」とする。だが、セオリーとしては1、2を進めることで余力を確保して、3や4へ活動をシフトしていくことだと補足した。 生成AI適用領域の分類 トヨタにおける生成AIの活用事例 トヨタでもこれらを実践している。生成AIの活用事例として、コールセンター、車両デザイン、産業ロボットを紹介した。
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レスポンス 中尾真二