「いつもは“すまして”ますが…」 阿久津未来也が2日目のガッツポーズに込める思い
◇国内男子◇パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2日目(20日)◇有馬ロイヤルGC ロイヤルコース(兵庫)◇7100yd(パー72)◇晴れ 【画像】旅人ゴルファー川村昌弘が休養宣言 折り返しの9番は、2日連続となるピンマイクを装着してのプレー。左から7mほどのバーディパットを前に阿久津未来也と関根淳キャディの会話が、パナソニックのリアルタイム音声配信サービス「CHEERPHONE(チアホン)」を通じてギャラリーの耳にも届いた。 上って下るマウンド越えで、下った後のライン読みが悩ましい。「最後のスライス、(切れずに)抜ける気がするんですよねー」と半信半疑でつぶやく阿久津に対し、「最後までスライスで見ていいと思うよ」と背中を押す相棒の声。「山を越えてから、しっかりスライスってことですね」。腹を決めてカップ左に打ち出したボールがカップの底を鳴らし、力強くこぶしを握った。 「すみません、いつもは“すまして”いるんですけど…」と笑うように、淡々とプレーするタイプ。2日目にして意図的に繰り返したガッツポーズは初優勝に懸ける気持ちの表れだ。最終日を単独首位で迎えた8月「横浜ミナトチャンピオンシップ」で2位惜敗。今週に入って「普段からお世話になっている」コスモス薬品の宇野正晃会長と食事をする機会があり、その試合に話題が及んだ。
具体的なプレーのターニングポイントとともに指摘されたのは、大会中の取材などで阿久津が自然と口にしていた「優勝します」というフレーズだった。「『勝ちたい』じゃなく、『勝たなきゃいかん』という気持ちでやってきなさい」――。 この日「66」をマークし、予選ラウンド2日間としては自己ベストのトータル131ストロークと好位置で迎える週末。通算13アンダーに伸ばす18番のバーディ締めに、やはりこぶしを握ったホールアウト後も勝利への執念を内に秘めるのではなく、「勝たなきゃいけないっていう使命感を持って決勝ラウンドを戦いたい」と言った。
栃木県出身の29歳が神戸に拠点を構えるようになって7年ほどが過ぎ、「もう第二の故郷なのは間違いない」と愛着も強い。鳴尾GC開催の2016年「日本学生」優勝をはじめ、兵庫のゴルフ場で行われた試合のいい思い出を聞かれれば話が止まらなくなるほど縁も感じている。満を持して悲願に挑む。(神戸市北区/亀山泰宏)