門脇誠(読売ジャイアンツ・内野手)×中川絵美里「優勝に縁がなかった自分。アジア王者を決めたサヨナラ打は大きな財産になった」
門脇 まだまだではありますが、あえて挙げるとすればどんなときでも丁寧にプレーするということでしょうか。それは大学時代からずっと心がけています。プロに入って周りを見渡せば、足の速いランナーはたくさんいますけど、それでも変わらず落ち着いてプレーすることは固守しています。毎球、肝に銘じていますね。 中川 プロに入ってから、ご自身で進化したと感じる部分はありますか? 門脇 スローイングが良くなってきたと思います。 中川 初めからいい印象でしたが、さらにそれ以上ですか。 門脇 はい。毎試合、試合前から練習をこなして、自分の状態を確認しつつ。自分でどのへんに投げたらこのへんにいく、という距離感もだいぶつかめるようになりました。結果、スローイングの安定性にもつながりましたね。 中川 バッティングに関してはいかがですか? 6月までは打率が1割台でしたが、7月あたりから急上昇、リーグ前半戦と後半戦では劇的な変化が見られました。 門脇 やはり、阿部(慎之助)監督と亀井(善行)コーチからの助言が大きかったです。「(打撃スタイルの)方向性を変えろ」と。それまではけっこう引っ張って、強引に打っていたんですが、センターから逆方向にと、大学時代のスタイルに戻すというか、変えたのがきっかけになりまして。そこからはさまざまな練習法を教えていただき、自分なりに消化していろいろ見えてきました。 中川 〝戻す〟というのは、原点回帰ということですか? 門脇 ええ。もともと、その点も評価していただいて入団したので。やっぱり自分の本来の持ち味を出さないとダメだなと。1年目で気づくことができて良かったです。 中川 センターから逆方向というと、球を呼び込むというか見る時間が長くなったことで、ご自身の中でしっくりきたという感じですか? 門脇 はい。自分のようなタイプは相手に球数を投げさせるとか、フォアボールとかも求められるので、バッティングのポイントを後ろに持ってくることによってプラス要素が増えます。それを続けようと思いました。 中川 昨年8月の月間打率は3割超え、9月にはサヨナラ打と、勝負強さも発揮していました。 門脇 いやぁ、もともと勝負強さという点には自信がなかったんです。事実、8月は状態が良くない時期もありましたし。でも、だんだんと「今日の試合はポイントだな」っていうのが自分の中でわかってきて。そこで結果を出せるようになったのは良かったかなと思います。 ■万波選手から盗めるものは盗んだ