成田凌“冴木”の豹変、佐藤大樹“鈴木”の煽り…2人の俳優が見せた演技にしびれる<降り積もれ孤独な死よ>
成田凌主演のドラマ「降り積もれ孤独な死よ」(毎週日曜夜10:30-11:25、日本テレビ系/Hulu・TVerにて配信) の第6話が8月11日に放送された。2017年に起きた灰川邸事件の真犯人が確定。その衝撃のなかで、成田と佐藤大樹が圧巻の演技を見せた。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】拉致された蒼佑(萩原利久)に死の恐怖が迫る ■予測不能な結末へ誘うヒューマンサスペンス 同ドラマは、原作・井龍一、漫画・伊藤翔太による同名コミック(講談社)をベースに、オリジナル要素を付け加えて映像化。 13人の子どもたちの白骨死体が見つかった、通称・灰川邸事件から7年。一人の少女の失踪事件をきっかけに、灰川邸事件の現場に残されていた謎のマークが再び浮かび上がる。過去と現在、2つの事件の謎が降り積もる中で真相が紐解かれていく、スリリングなヒューマンサスペンスだ。 凄惨な事件を捜査する主人公の刑事・冴木仁を成田、冴木の前に現れる謎の女性・蓮水花音を吉川愛、事件が起きた屋敷の持ち主で容疑者でもある灰川十三を小日向文世が演じる。ほか、冴木の先輩刑事・五味明日香を黒木メイサ、冴木の後輩刑事・鈴木潤を佐藤大樹(FANTASTICS from EXILE TRIBE)、花音と同じく灰川邸に住んでいて生き残った子どもであり、冴木の腹違いの弟である瀧本蒼佑を萩原利久、2024年の現代パートでの週刊誌記者・森燈子を山下美月。 ■灰川邸事件の真犯人が動機を明かす 花音と蒼佑を拉致した鈴木。一方、冴木は灰川の日記に書かれていた灰川の実の息子の名を知り、そして五味は灰川邸で取り替えられた絵画を購入した人物に行き当たり、容疑者に浮かんだのが鈴木だった。 衝撃の第6話は、鈴木が花音たちに自分の過去や犯行の詳細を明かして命を奪おうとする様子、また冴木たちが鈴木のことを証明するための捜査に奔走する様子が描かれ、緊迫感が続いた。 鈴木は灰川の実の息子でありながら児童養護施設で育ち、灰川に会いに行っても拒否されたのに、なぜか血のつながりのない花音たちが家族として灰川と一緒に暮らしていた。求めた愛を得られなかった憎しみは、子どもたちに向かう。あえて警察官になった鈴木は、すでに大人になっていて行方をつかみにくかった花音や蒼佑ら6人を除き、幼かった13人の子どもを探し出して、灰川邸の地下室に閉じ込め、餓死させたのだった。 ■成田凌と佐藤大樹の表現力に息をのむ 冴木たちの捜査を刑事の知識でかわしていた鈴木だが、いよいよ間近に迫るとその目を潜り抜けて、餓死させようとしていた花音と蒼佑の元へ。その命を一刻も早く奪うためだ。 留置場にいた灰川をも自殺に見せかけて殺していた鈴木。「父親殺しができるのは、本当の子どもである僕だけだ」と、どこまでも歪んでいた。ところが、灰川の日記を読んでいた花音は、灰川が徹底して実の子だと認めなかったのは、灰川が愛した鈴木の母が離婚できなかったDV夫から守るためだったのだと指摘した。離婚していない間に生まれた子どもは法的に夫の子となり、DVを受ける可能性、さらには妻を殺した殺人鬼の息子となってしまう。 「それは愛でしょ」と言う花音。思いがけない真実に涙する鈴木だったが、「愛」だったとは認めない。練炭に火を付けて2人がいる部屋のドアの隙間をテープで埋めようとする。 そのとき、鈴木たちの居場所を見つけた冴木がやって来た。鈴木の身柄を取り押さえ、花音たちのいる部屋に飛び込む冴木。蒼佑はすでに意識を失っていたが、冴木の救命で息を吹き返した。 安堵したのもつかの間、鈴木が口を開いた。冴木と蒼佑は、父親と同じように暴力に取り憑かれており、その負の連鎖を死ぬことで断ち切ったほうがいいのではないかと煽った。自分が被虐待児だった灰川邸の子どもたちを殺したのも「ある意味、社会貢献だったのかもしれませんね」とまで。そこで冴木は豹変し、何度も鈴木を殴り続けた。 抑えていたものが出て殴り続けるときの冴木の何もかもの色を失ったような表情。殴られながら笑みを浮かべる鈴木。壮絶さに言葉を失うラストとなった。成田と佐藤、2人の演技はそれほどに圧巻で、凄まじい思いが込められていた。 緊迫感続いた展開から壮絶なラストへ。タイトルがトレンド1位になる反響を呼び、「余韻がすごい」「圧倒された」という感想のほか、「まだ6話でしょ、どうなるの?」「展開が読めない」との声が。 第6話冒頭、2024年の現在、森から灰川邸事件のことを聞かれた五味は「話さないよ。話したくない…。あんな終わり方した事件のこと」とつぶやいていた。2024年に冴木が刑事を辞めている理由もそこにあると思われるが、2017年の事件の結末、そして2024年の新たな事件の謎に、まだまだ心をかき乱されそうだ。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部