【高校サッカー選手権】県総体準優勝の開志学園JSC。まずはベスト8進出
10月上旬に終えた県リーグ1部で、14試合で53ゴールを挙げて優勝した開志学園JSC。2部の長岡向陵は14試合で8失点と強固な守備力が身上。互いの持ち味がぶつかり合った第103回全国高校サッカー選手権新潟予選4回戦は、開志の攻撃力が上回り4-2で勝利した。 【フォトギャラリー】開志学園JSC vs 長岡向陵 時折日も差す天候はキックオフ直前に大粒の雨模様となり、パスサッカーを標榜する開志は出鼻をくじかれた。「(試合の)入りでもっと圧力を掛けて主導権を握りたかったが、雨風が強くなって(動きが)少し小康状態になってしまった」(開志・宮本文博監督)。左はFW11徳丸祐希(3年)、右はFW14八田光琉(2年)が縦に速く仕掛けて攻め入るが、詰めでミス。幾度となく得たCKもシュートは枠を捉えることができず、20分を過ぎて逆に長岡向陵に守備のリズムが出始めた。 嫌な流れを断ち切ったのはMF7荻原怜大(3年)の先制ゴールだ。29分、徳丸の左から上げたクロスに荻原がニアできれいに合わせた。 「自分の武器はヘディング。ニアに来るのは分かっていたので自信を持って飛び込んだ」。1週間前の3回戦で開志は19-0と爆勝。荻原は2ゴールを決めていた。徳丸のピンポイントクロスも見事だった。徳丸は160センチの小柄な体に似合わず、左サイドから中央までオープンスペースを縦横無尽に走り回るタフチャンスメーカー。男気もある選手で、自分のユニホームの下にこの日ケガでベンチを外れたチームメートのユニホームを着てプレーした。主将で左SBの10松浦朔太郎(3年)も縦への推進力があり、徳丸と組む開志の左サイドのアタックは県内では随一だ。開志は38分にエースFW9阿部日夏太(3年)が巧みな個人技から2点目、その1分後には徳丸がラインブレイクして前半で3点を奪った。 サッカー専門学校の開志学園JSCには全国からプロ選手を夢見る生徒たちが集まる。個性の強いクセ者たちが多く、良くも悪くも毎年「チーム作り」に腐心する。しかし今年のチームは例年と異なり、中心となる3年生は「横のつながりが強い」(宮本監督)。1つの目標にフォーカスして固くつながっている。「1年生の頃から『打倒帝京長岡』でまとまってきた」と主将の松浦。帝京長岡には今年6月の県総体決勝で0-5、選手権も2年連続で敗れている。全国出場の前に立ちはだかる壁を打ち破るため、2年前から選手たちは絆を深めてきた。この日の勝利でベスト8へ勝ち上がった。決戦まであと2つに迫った。 長岡向陵は前半アデショナルタイムに主将DF2瀬下空永(3年)のPKで2点差。後半も4点目を決められた後に1点を返して執念を見せた。特に後半は瀬下とDF2石塚莉空(共に3年)のCBを中心に開志の強力な攻撃を押さえ込むなど、優勝候補相手に公立校・長岡向陵の健闘が光った。 (文・写真=いのうえ・しんじゅ)