パリ五輪明けUCIワールドツアー再開 新城幸也参戦のバスクレース、新コース採用でフィニッシュ前7kmに待つ27%の激坂が勝負の行方を左右する【Cycle*2024 クラシカ・サンセバスティアン:プレビュー】
レースが動くのは170kmを過ぎてからか。名物の2級山岳ハイスキベル(7.9km、5.5%)は、決定打でなくとも何らかのアクションが起こるであろう重要ポイント。唯一の1級山岳、エルライツ(3.8km、10.7%)の頂上はフィニッシュまで42km。2年前はレムコがここで仕掛けて、驚異の独走劇が生まれた。 エルライツ頂上からのテクニカルなダウンヒルをこなし、いったんサンセバスティアンの街を通り抜けたら、最終登坂・2級山岳ピロテギを迎える。登坂距離こそ2.1kmだが、平均勾配が10.7%。頂上までの1kmだけを見れば平均で14.5%、最大27%と恐ろしい数字である。
ピロテギの頂上からフィニッシュまでが7.6km。この上りまでに独走を決める選手が出ていれば、サンセバスティアンまでの帰路はウイニングライドに。大なり小なり集団であれば、フィニッシュに向けた駆け引きが一層激化し、スプリントで勝負が決まることも想定される。
出走は全25チーム・175選手。前回・前々回と連覇し、過去3回このレースで勝っているレムコは欠場。スーダル・クイックステップは、2018年に勝っているジュリアン・アラフィリップと地元レースに意欲を燃やすミケル・ランダの両輪でタイトル防衛に挑む。
ランダに限らず、ロードレース王国バスクの雄たちが20人近く出走を予定。前回2位のペリョ・ビルバオはバーレーン・ヴィクトリアスのエースとして、初優勝を目指す。
モビスターはアレックス・アランブルを軸に展開するだろうし、コフィディスにはゴルカとヨンのイサギレ兄弟が切り札として控える。次世代を担うバスク人ライダーとして期待を集めるイゴール・アリエタ(UAEチームエミレーツ)は、経験豊富なマルク・ヒルシとマルク・ソレル、若手有望株のイサーク・デルトロらと共闘する。 今大会随一のチーム力に挙げられているのが、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ。先に控えるブエルタ・ア・エスパーニャに向け調整を続けるセルヒオ・イギータと、ジロ・デ・イタリア個人総合2位が記憶に新しいダニエル・マルティネスの両コロンビアンがWリーダー態勢を整える。ヴィスマ・リースアバイクはレース開催前日にヨナス・ヴィンゲゴーのメンバー入りを発表。ツールを終えたこの夏は精力的にレース活動を継続していく意欲を見せており、落車負傷した4月のイツリア・バスクカントリー以来となるバスクレースで悪いイメージを払拭しようと意気込む。ツール回避から復調しているセップ・クスとの双頭体制をとる公算だ。
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