干支で“脚光”の陰で…うさぎの保護「急に増えた」 多頭飼育崩壊 コロナ禍のペットブーム“頭打ち”
日テレNEWS
コロナ禍をきっかけに始まったペットブームが落ち着き、今度は、増えたペットを管理しきれない、“多頭飼育崩壊”が深刻化しています。犬や猫だけでなく、今年の干支(えと)で人気の「うさぎ」の保護数も増えているといいます。 ◇ ぴょこんとした耳が特徴で、今年の干支でもある「うさぎ」。その愛くるしいしぐさと、人なつっこさで人気が高まっていて、最近は“垂れ耳”のうさぎも人気です。東京・武蔵野市のうさぎ専門店「うさぎのしっぽ吉祥寺店」では、家族連れや1人暮らしのお客さんが多いといいます。 店長 「大きくならないので、日本の住宅事情に合っているのかな」 コロナ禍をきっかけにペットブームが起こり、市場規模が一気に拡大しましたが、2020年度からは“頭打ち”となっています。 (※「ホームセンターのペット・ペット用品販売額」商業動態統計(経産省)による) ◇ ペットブームが落ち着いたいま、深刻化しているのが、“多頭飼育崩壊”の問題です。 神奈川県平塚市にある県動物愛護センターでは、さまざまな動物を保護しています。特に、猫の保護数は180匹以上、収容上限の2倍を超えています。 そして、近年、保護数の増加が目立っている動物が「うさぎ」です。通常は数羽しか保護していませんが、この日は部屋にたくさんのうさぎがいました。 神奈川県動物愛護センター 廣井 惠津子さん 「昨年度も、うさぎさんをたくさん保護した事例があります。その時は200羽以上」 神奈川県に住む夫婦が飼っていた2羽のうさぎが繁殖し、200羽以上に増えたため、ボランティア団体と協力して、保護したといいます。 さらに、廣井さんは「今年度に入って約30羽を保護」「数が急に増えた状況がある」と話しました。普段は、うさぎをインコなどもいる“小動物部屋”にまとめているといいますが、その部屋を“うさぎ貸し切り部屋”にして対応したといいます。 譲渡会を開催しても、うさぎはいまだ多く残されているといいます。 神奈川県動物愛護センター 廣井さん 「職員も一生懸命頑張っていますが、大変な状況ではあります」 「1日でも早く、新しい飼い主さんに迎え入れていただけたら」 ◇ うさぎの保護の相談は、各地で増えています。 福岡市では、犬や猫よりも、うさぎの保護の相談件数が多いということで、去年7月、“うさぎ専門”の愛護センターが開設されました。これまでに保護したのは71羽で、小学校で飼育崩壊したうさぎなど、44羽を受け入れ予定だといいます。 大阪でも同じような状況で、8月の取材時、15羽のうさぎを保護していた施設がありました。 リバティ 藤田敦子さん 「小学校の小屋で10年間暮らしていました。おしりにフンがこびりついていて、ドロドロだったりとか」 この施設では、エアコン代やご飯代などで月に30万円近く出費があるといいますが、ボランティアでうさぎの保護を続けています。 リバティ 藤田敦子さん 「うさぎに関わる問題というのは、これからまた来年・再来年と増えていくのではないかと危惧しています」 “うさぎ年”で脚光を浴びる、うさぎ。その陰では、多くの命が捨てられています。最後まで一緒に居続ける責任感と、正しい知識を持つことが求められます。