なぜ12球団合同トライアウトの開催可否が話題になった? 12球団の編成事情と選手会の思惑とは
日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会との事務折衝が21日、都内で開かれ、毎秋、実施してきた12球団合同トライアウトについての話し合いも行われた。 2001年秋からスタートした合同トライアウト。所属球団では働き場所がない、戦力外通告を受けた、ベテランだが、まだまだ引退せずに現役を続行したい-。そうした出場機会、チャンスを求めた選手たちが球場に集い、各NPB球団のフロント関係者にアピールする場所でもあった。ただ事情が少し変わってきた。 各球団はアマ担当のスカウトだけではなく、プロ担当のスカウトを配置している。その編成担当者がシーズン中も1、2軍の試合が行われる球場で選手をチェックし、情報を収集している。選手関係委員会の委員長を務める広島・鈴木球団本部長は「(12球団では)普段からもう全部見ているから。(トライアウトの)一打とか一球で決めることはもうない。昔の(ように)トライアウトを見て取るというのはもうなくなった」と説明する。 12球団にとって合同トライアウトは、絶対に必要なものではなくなりつつある-。焦点となりそうなのが開催の可否や開催方法だ。12球団合同トライアウトの今オフの開催は決まっており、来秋以降に実施しない可能性もあるという。 当然、日本プロ野球選手会としてはNPBの選手に多くの出場機会やチャンスを与えたい考えもあり、存続を望んでいる。だからこそNPB主催だったトライアウトを選手会主催にする案も出ている。選手会主催の場合は、NPB球団に在籍した選手が参加し、社会人や独立リーグなどの関係者が視察してチェックできるようにするトライアウトの案も出ている。選手会の森事務局長は「セカンドキャリア的な考えから。野球を続けたいっていう人に対して他のステージをしっかり用意する」。最後のアピールの場としてトライアウトを用意したいという考えもある。 難しい問題かもしれないが、合同トライアウトに限らずNPB、12球団、選手、選手会、ファンの誰もが納得できるようなシステムを構築することがやはり理想だと思う。(デイリースポーツ・伊藤玄門)