ビワイチ入門編にも最適 琵琶湖の南湖一周サイクリング 約50kmを猛暑続く今夏に疾走 沿道の魅力
◇羽川英樹の出発進行!(サイクリング編) 私が夏に琵琶湖一周(ビワイチ)200kmを2日間かけて走るサイクリングを始めたのは55歳のときから。ゆえに、もう15年くらい続けているのですが、今年の夏は暑すぎます……。猛暑でトレーニングもほとんどできず、年齢も70代に入ったので、無茶はしないと決めました。 【写真多数!】琵琶湖の南湖だけを一周する「クォーター・ビワイチ」 沿道などの様子 そこで今回体験したのが琵琶湖の南湖だけを一周する「クォーター・ビワイチ」なんです。近江大橋~琵琶湖大橋の南湖一周なら約50kmですから、ビワイチの4分の1の距離で済むんです。 スタート地点は、毎年30万人を動員する「びわ湖大花火大会」の会場でもある、浜大津港です。観光船「ビアンカ」や外輪船「ミシガン」を横目に、ジャイアントの24段変速のクロスバイクで出発進行! 気温は朝ですでに30℃を超えていましたが、曇っているため、暑さは少しマシ。時計と逆回りのコースでまずは湖東側へ向かいます。 琵琶湖ホテル・びわ湖大津プリンスホテルなどを眺めながら快調に疾走。3.5kmを走ってすぐに近江大橋に到着。なだらかなスロープのこの連絡橋を渡って、大津、膳所から草津側へ入ります。 その後、イオンモール草津の手前を左折して、さざなみ街道を琵琶湖に沿って北上。このあたりはとても静かで走りやすい環境です。 15kmを走って烏丸半島の「滋賀県立琵琶湖博物館」前で小休止。時間に余裕があれば、ぜひこの博物館で琵琶湖の偉大さを体感してください。ショップ入場だけなら無料なので、お土産ものを眺めながら館内でクールダウンするのもいいかもしれません。 私は近くの「道の駅草津グリーンプラザからすま」でスポーツドリンクを購入。冷凍されているものを買って、走行中に少しずつとけだしてくるのを飲むのが楽しみなんです。 ビワイチのコースは高速用と低速用に分かれており、低速車は歩行者・自転車専用道を、高速車は車道側端を走るように、ブルーマークでガイドしてくれます。草津~守山間は湖が真横に迫り、対岸に大津市街を眺めながら快適な走行が楽しめます。途中、佐川美術館に立ち寄って涼しい場所で絵画鑑賞もしたいところですが、涙を呑んで通過します。 22kmを走って琵琶湖大橋の入口に到着。乗用車は通行料150円が必要ですが、自転車は無料で走行できます。琵琶湖が東西に最も狭まった場所にあり、守山と対岸の堅田をつなぐ全長1400mの実にフォルムの美しい大橋。ただアップダウンが相当きつく、最も高い所で湖面から25mの高さに位置しますが、ここからの南湖や大津市街の眺望は曇っていてもなかなかのもの。橋を渡り切ったら、「道の駅びわ湖大橋米プラザ」で小休止です。 さあ、ここからは後半戦に入るのですが、橋を渡った湖西側は短絡路の県道588号(旧国道161号)の大半が片側一車線で狭く、混雑していて走りにくいんです。ゆえに公式コースは山側にう回するようになっていますが、これだとアップダウンが結構きつくなります。そこで日頃県内をくまなく取材している経験を活かし、ここからは独自のルートを走っていくことにします。 湖西側に入って、まずは堅田の古い街並みや旧商店街を抜けてから、近江八景のひとつ、浮御堂へ。その横にある湖魚の佃煮専門の魚富商店で絶品「エビ豆」を購入、お隣りの立正園茶舗の名物「冷たい抹茶ミルク」でのどを潤します。こういう立ち寄りもサイクリングの醍醐味です。また木陰に入れば、琵琶湖からの風もいくぶん涼しく感じられます。 その後、JR湖西線と県道588号の間の道を抜けると住宅地を過ぎて、雄琴温泉の旅館街が見えてきます。旅館の日帰り湯にも行きたい誘惑にかられますが、また汗をかくのでカット。代わりに「おごと温泉観光公園」の無料の足湯で疲れた足を少し癒してやります。 JR比叡山坂本駅あたりからは湖西線の高架下をひた走ります。このあたり景色は望めませんが、ちょうど日陰に入るため終盤の疲れた体にはもってこい。JR湖西線の大津京駅を通過し、大津市役所前の「とんかつの棹(たく)」で遅めのランチ。熟成豚をしっかり揚げた分厚いカツにキャベツピラミッド。窓の向こうを走る京阪石山坂本線の電車を眺めながら、そのうまさを堪能します。 エピローグは緑豊かな皇子山陸上競技場の横から、三井寺そばを流れる琵琶湖疎水(琵琶湖疏水)や、大津絵の道など、美しい風景の中を抜けて、再び観光船「ビアンカ」が迎えてくれる浜大津港へ。走行約50kmで無事到着。この夏、全くトレーニングなしでもこの距離なら完走できました。 今回もそうでしたが、私はいつもひとりで走っています。走行速度も休憩も食事も立ち寄りたい場所も、思いのままにできるのがストレスフリーだからです。 夏場のサイクリングで完走するには、充分な水分補給、適度な休憩、首の後ろを冷やす、自分に合ったサングラスの着用などが必須条件となります。 ちなみに、琵琶湖一周は「ビワイチ」といわれていますが、淡路島一周は「アワイチ」、浜名湖一周なら「ハマイチ」、そして小豆島一周は「まめいち」と呼ばれています。 ビワイチは、しまなみ海道などともに国内6か所のナショナルサイクルルートのひとつに選定される憧れのルート。全国各地からチャレンジャーがやってきます。 しかし、いきなり200kmはなかなかの距離。そこで、まずは今回ご紹介した南湖一周50kmから始めてみて、自分の体力を見極めながら、琵琶湖の大きさを実感してみてはいかがでしょうか。(羽川英樹)
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