中国CPIの伸び鈍化、国内需要の低迷示唆-デフレ圧力続く
(ブルームバーグ): 中国の国家統計局が9日に発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比0.3%上昇と、伸びは前月の0.4%から鈍化した。生産者物価指数(PPI)は引き続き低下し、中国政府の最新の景気刺激策ではデフレ脱却には不十分であることが示唆された。
ブルームバーグがエコノミストを対象にまとめたCPIの予想中央値は9月と変わらずの0.4%上昇だった。
変動の激しい食品・燃料価格を除いたコアCPIは0.2%上昇した。
PPIは前年同月比2.9%低下で、25カ月連続で前年割れとなった。エコノミストらは2.5%低下を予想していた。
ゼロ近辺のインフレ率が続いていることは9月下旬以降、利下げや株式および不動産市場への支援などの景気刺激策が講じられているにもかかわらず、中国国内の需要が低迷していることを示している。
ジョーンズ・ラング・ラサールの大中華圏担当チーフエコノミスト、ブルース・パン氏は「9月下旬からの一連の政策による国内需要押し上げ効果が表れるにはまだ時間がかかる」と指摘。「PPIの低下が消費財の価格を押し下げ、消費者信頼感と需要の低迷がサービス価格の低下につながっている」とした。
その上で、年内のCPIは緩やかな推移が見込まれるとし、「来年早々に追加利下げが行われる可能性が高まっている」とした。
中国は8日、地方政府の債務借り換えを目的とした10兆元(約212兆円)規模のプログラムを発表した。地方自治体の債務負担を減らし、経済成長を促進させることが狙い。
エコノミストや投資家の多くは、需要を支援し、センチメントを改善する緩和的な財政政策なしにはリフレ促進は難しいと指摘している。
また、今年の中国経済の成長をけん引してきた輸出は、トランプ米次期大統領が警告する大幅な関税引き上げリスクに直面しており、中国政府は消費拡大策を強化するようさらに圧力を受ける可能性がある。
ピンポイント・アセット・マネジメントの社長兼チーフエコノミストの張智威氏は「市場は財政刺激策の詳細を心配しながらも待ち望んでいる。規模は重要だが、中身も同様に重要だ。消費サイドをターゲットとした刺激策は国内需要を押し上げ、過剰設備の問題悪化を回避するのに効果的だろう」とコメントした。