「借金を返せないときは、私の家や工場を売り払っていただいて結構です。」経営者に一筆書かせて…銀行のビジネスのキホン
銀行「社長が保証しないなら貸さない!」 社長「ぐぬぬ…」
担保が「借り手の財産を売った資金を銀行間でどう分配するか」という問題だったのに対し、保証は「借り手の財産で足りない分を他人に払わせる」ということです。 保証するのはだれでもイヤですが、親が子の借金の保証人になる、親会社が子会社の借金の保証人になる、といったことは広く行われています。 もうひとつ、オーナー企業の社長が会社の借金の保証人になる、ということも広く行われています。その理由を理解するためには、「株主有限責任」を知る必要があります。株式会社は、儲かったときは株主に配当するのですが、大損をして借金が返せなくなったときには、株主は会社の借金を肩代わりする必要がないのです。この制度については拙稿 『「株式会社」のしくみ…会社運営に必要な「資本・負債」それぞれの目的と違いとは?』 をあわせてご参照いただければ幸いです。 そこで銀行としては、会社が倒産したときにオーナー社長に借金を肩代わりしてもらえるよう、借金の保証を頼みたいわけです。オーナー社長としては、当然断りたいわけですが、「社長が保証してくれないなら貸さない」と銀行にいわれると、大いに悩むわけです。 会社が銀行から金を借りて、大きなビジネスをして大いに儲け、オーナー社長が大金持ちになるチャンスがあるのに、そのチャンスを逃すのはもったいないですね。しかし一方で、会社が倒産したときに自分が借金を肩代わりすれば自分まで破産してしまうかもしれません。悩んだ末に、前者を選ぶ社長も多い…ということですね。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義