auじぶん銀行はKDDI完全子会社化 カブコムは「三菱UFJ eスマート証券」に
KDDIと三菱UFJフィナンシャル・グループは、協業の重点領域やあり方について再構築し、協業関係を次のフェーズ(協業2.0)へと発展させることに合意した。これにより、これまで共同で事業展開してきた「auじぶん銀行」はKDDIが100%子会社化、「auカブコム証券」は三菱UFJ銀行が100%子会社化する。 【この記事に関する別の画像を見る】 銀行はKDDIに、証券は三菱UFJに寄せる形となり、「リテール金融領域は両社グループの役割・責任を明確化する形で整理する」としている。一方で、今後の両グループの協力を生成AI領域にシフトしていく。 ■ auじぶん銀行はKDDIが100%子会社化 2008年に両社グループが共同で開業したauじぶん銀行は、近年住宅ローンの取り扱いで業界上位の地位を確立しており、マスリテールにおける独立した金融プレーヤーとしてau経済圏を牽引している。 両社グループにおいて、デジタル銀行領域での今後の協業について検討した結果、KDDIとauフィナンシャルホールディングスは、三菱UFJ銀行が保有するauじぶん銀行の持分22%を取得し、auじぶん銀行を自社経済圏における「100%子会社の中核銀行」としてリソースを集中投下することが、さらなる発展に向け最適との結論に至ったとする。auじぶん銀行株式の取得完了は、2025年1月末を予定している。 KDDIの100%子会社化後も、両社グループの業務提携は継続し、auじぶん銀行と三菱UFJ銀行相互間での振込手数料を無料とするサービスなどを従来同様に提供。今後はau経済圏における中核銀行として、通信事業やほかの金融事業との連携を深化させていく。 ■ カブコム三菱UFJ銀行傘下の「三菱UFJ eスマート証券」に 2019年から両社グループの共同出資会社となっているauカブコム証券(カブコム)は、両社グループにおけるネット証券機能を担ってきた。 auじぶん銀行と同様に、両社グループにおいて、ネット証券領域での今後の協業のあり方を検討した結果、auフィナンシャルホールディングスが保有するカブコムの持分49%を三菱UFJ銀行に譲渡し、「MUFGグループの中核ネット証券」としてMUFGグループ各社との顧客基盤の連携を中心とした協業を強化することが、カブコムのさらなる発展に向け最適との結論に至ったとする。 auフィナンシャルホールディングスは、三菱UFJ証券ホールディングスが保有するカブコム持分51%を三菱UFJ銀行が取得した後に、保有するカブコム持分49%を三菱UFJ銀行に譲渡。カブコムは三菱UFJ銀行の100%子会社となる。 カブコム株式の譲渡完了は'25年1月末を予定しており、同年2月からカブコムの社名は「三菱UFJ eスマート証券」に変更される。 なお、カブコムについても、両社グループの業務提携は継続し、「auマネ活プラン」を始めとしたau経済圏ユーザーへのプログラム提供などを行なう。 ■ 生成AIを軸にした「協業2.0」 両グループの提携関係は金融領域から生成AI領域にシフトしながら、協業シナジーを模索していく。この取り組みを「協業2.0」と位置づけ、生成AIの開発・活用についての戦略的提携を行なう。 生成AIについては、3ステップで協業を加速。両社グループは、保有するアセット、知識・ノウハウに、ELYZAやSakana AIのAI開発・活用技術を掛け合わせ、金融事業の抜本的な改革を進める。 Step 1では、MUFG社内の大量のドキュメントのほか、社員が有する金融領域の経験やノウハウも学習させた「金融特化LLM」を構築。、汎用LLMでは対応が難しい「顧客対応」「社内外用ドキュメント生成」「システム開発」などなどに活用することを目指す。 Step 2は、法律・規制データなどを含め、多様なデータを学習させることで、顧客ごとにパーソナライズされたAIがアドバイザーとなり、金融専門知識の有無に拠らず、高度な金融サービスを提供できるプラットフォームの構築を構築。新たなユースケースを創出する。Step 3では、「金融特化LLM」を広く金融業界に提供していく。 まずは、KDDIが開発中の次世代リモート接客プラットフォームを活用し、全国をカバーする汎用リモート接客ファシリティの展開を想定。KDDIとMUFGが、同ファシリティをMUFGのリモート接客に活用する検討に着手している。このファシリティは、コンビニエンスストアなどへの設置を検討しており、「MUFGの拠点配置が必ずしも充分でない地域」を含め、顧客のアクセスポイント拡大を見込むとする。
Impress Watch,臼田勤哉